欧州連合の運営を担う欧州委員会はこのほど、グリーン移行を促進するための計画「REPowerEU」を発表した。再生可能エネルギーの導入を加速させる取り組みの一環として、公共及び商業建築物と新築住宅に太陽光パネルの設置を義務化する。
「気候危機への対応」と「ロシアの化石燃料への依存脱却」という二つの大きな目的のもとに立案されたこの計画では、2025年までに320GW以上(2020年比で2倍以上)の太陽光発電容量を確保し、2030年までに600GW規模まで太陽光発電設備を拡充することを目指す。
新築の有効面積が250平米を超える公共及び商業建築物は2026年まで、同条件の既存の建築物は2027年までに、太陽光パネルの設置が義務化される。また、2029年までには、新築の住宅すべてに同様の義務が課される。
欧州委員会の試算によると、欧州連合の総電力消費量の約25%を屋上太陽光発電によってまかなうことができる可能性があるという。
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「REPowerEU」における太陽光発電への追加投資は、現在から2027年の間に260億ユーロ(約3.6兆円)に達し、計画全体としては2100億ユーロ(約30兆円)が必要になる試算。欧州連合圏内の納税者への負担が増大する恐れがあるが、欧州委員会によると、ロシアの化石燃料を輸入するために年間1000億ユーロ(約14兆円)近くの費用がかかっており、これを削減することは納税者の負担軽減にも繋がるという。
欧州委員会は、2050年までに「クライメイト・ニュートラル(二酸化炭素以外の温室効果ガスも含めて実質ゼロの状態)」を達成するという目標を設定し、これに向けて精力的にグリーン化政策を推し進めている。
昨年7月には、目標を達成する前段階として2030年までの温室効果ガス排出量55%削減を掲げ、政策パッケージ「Fit for 55」が採択された。今回発表された「REPowerEU」は、この「Fit for 55」を考慮した計画であるとみられる。
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