大和ハウス工業(大阪市)とバンダイナムコ研究所(東京都江東区)、ノイズ(東京都目黒区)の3社は、築90年以上の古民家を改装した「XR HOUSE(エックスアールハウス)北品川長屋1930(イチキュウサンゼロ)」(東京都品川区)において、「リアルとデジタルの融合」について検証する共同実証実験を6月3日から開始した。
建物の価値は経年により下がるイメージがあるが、今回の検証では、築数十年の建物にデジタル技術とエンターテインメント技術を取り込むことで、利用者が「住まい価値(利用上の価値)」をどう感じるかを検証し、今後の住宅・建築業界の新しい価値の創出につなげるという。実証期間は8月31日まで。
各フロアの企画構成・建物の知見提供を大和ハウス工業、デジタル技術の企画については、玄関からのアプローチと1階をノイズ、2階をバンダイナムコ研究所が担当した。
「XR技術」を活用して、リアル世界とバーチャル世界の共生を目指した空間や、人の動きに音と光で反応して家が人格を持ったような空間を作った。2階和室の「襖」「障子」「畳」では、障子の奥にモノクロの屋外空間、襖の先に屋内空間を演出し、ノイズがデザインを手掛ける「ボロノイ畳」にLED技術を組み込むなど、高音質の環境音とともに日常にデジタルを取り込んだ。
1階は、古民家という環境自体がデジタル技術によって人格を持ち、「人」とコミュニケーションを図っているような空間を設計。センシングデバイスによって「人」の位置を把握し、「人」が古民家のLED電球に触れると、その時の「人」の位置などによって多種多様に変化する反応を、タイルへの映像投影とサウンドで表現した(下)。
今回のプロジェクトは、大和ハウス工業が、コロナ禍によるDXへの対応や空き家問題を課題とするなか、建築家であるノイズの豊田啓介氏から「未来の暮らし」にエンターテインメントの視点を取り入れる提案があったことから、「XR技術」の研究開発を手掛けるバンダイナムコ研究所を加え、3社で検討を開始。コロナ禍の巣ごもりの閉塞感を軽減しながら、暮らしをより楽しくするため、デジタル技術で空間イメージを変えることができる「XR技術」に着目した。
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