日建設計(東京都千代田区)と住友林業(東京都千代田区)は5月27日、木質梁とRC床版(鉄筋コンクリートを用いた床版)を組み合わせた合成梁構法を共同開発したと発表した。
木質梁そのものに凹凸をつけRC床版とつなげる「のこぎり形接合」による構法。木とコンクリートの圧縮強度が近い特性を活かしお互いを強固に接合させることができる。RC床版が木造梁の剛性を高めるため、鉄骨造とコンクリートスラブによる床と同様の揺れにくさを実現した。梁の長さは従来の倍の約12mのロングスパンを実現するほか、梁せい(梁の高さ)を非合成梁と比較して約4分の3の90cmに抑えることが可能。これにより、中大規模木造建築の広い床面積と、建物の階数増加に対応できるようになった。高層化の際に増床につなげられるほか、耐火被覆面積の削減や建築費削減が可能になるとしている。
4月に日本ERIで構造性能評価を取得済み。床工法との組み合わせ自由度が高く、在来型枠工法にも活用でき、デッキプレートなどさまざまな型枠にも対応する。住友林業の「木ぐるみ」シリーズなど、耐火構造の木質梁にも適用可能。高層建築をはじめ、建物の構造の種別や高さ、階数を問わず活用することができる。
軽くて強い木材は建築用材として広く使用されているが、中大規模建築を木造化する場合、床の振動が伝わりやすく、強度を担保するために木材の断面を大きくする必要がある。両社は、中大規模建築に対応可能な木質梁を開発するため、2016年から実験・検証を実施。集成材、LVL等が使用可能で木材の樹種の制約も少なく汎用性が高い同構法を開発した。同構法によって、オフィスや学校、病院など非住宅の中大規模木造建築の普及・促進に寄与するとしている。
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