全米住宅建設業協会(National Association of Home Builders)がこのほど発表した2022年第1四半期の「NAHB/Wells Fargo Housing Opportunity Index (HOI)」は56.9%で、前期比でプラス2.7%となった。
「NAHB/Wells Fargo Housing Opportunity Index (HOI)」は、住宅のアフォーダビリティ(住宅の適正費用負担)を表す指標。販売された住宅のうち、世帯収入が中央値の家庭が標準的な住宅ローン引受基準のもとで購入し得る住宅の割合で示される。今回発表された56.9%のHOIを例にとると、2022年第1四半期に売りに出されていた住宅のうち、アメリカの平均的な家庭が購入可能な住宅の割合が56.9%だったということになる。
HOIの直近のピークは2020年の第1四半期(66.0%)であり、コロナ禍が本格化し始めた2020年第2四半期からは低下が続いていた。2022年第1四半期は2年ぶりの上昇となったが、全米住宅建設業協会は住宅のアフォーダビリティの実質的な悪化を警告している。現在のアメリカではインフレ対策として、急激な金利の引き上げが行われているからだ。
今回のHOIを算出する基準となった2022年第1四半期の平均金利は3.86%だったが、4月末の住宅ローン金利は5.11%にまで上昇している。この金利を基に再計算したHOIは48.7%で、HOIが現在の方式で算出されるようになった2012年以来最低の数値となる。
住宅ローン金利の急激な上昇、「ウッドショック」や「建材ショック」によるサプライチェーンの混乱、労働力不足、インフレの進行などが重なって、住宅のアフォーダビリティは悪化の一途をたどっている。
全米住宅建設業協会のチーフエコノミスト、ロバート・ディーツ氏は「実質的なHOIが50を下回るということは、特に初めて住宅を購入する人しようとしている人にとって、大きな負担となることを示している」と述べ、さらに「悪化する住宅のアフォーダビリティの問題を緩和するための最善の方法は、政策立案者が進行中のサプライチェーンの問題に対処し、建設業者がより手頃な価格の住宅を建設できるようにすることだ」と、問題解決のために米政府が主導的な役割を果たすことを求めた。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。