ファニー・メイの通称で知られる米金融機関、連邦住宅抵当公庫(ワシントンD.C.)がこのほど実施した「全国住宅調査(National Housing Survey)」で、消費者の76%が「今は住宅を買うのに悪い時期だ」と考えていることが明らかになった。「良い時期だ」と回答した割合は19%で、この3年間で最低となった。
「Home Purchase Sentiment Index (HPSI)」は前月比マイナス4.7、前年同月比マイナス10.5の68.5ポイントで、2年ぶりの低水準となった。
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HPSIは、住宅市場に対する消費者の評価を表す指標。全国住宅調査の設問のうち、「住宅を買うのに良い時期だと思うか」、「住宅を売るのに良い時期だと思うか」、「住宅価格は上がると思うか」、「住宅ローン金利は上がると思うか」、「失業の懸念があるか」、「世帯収入は1年前と比べて上がったか」の6項目に対する消費者の回答から算出される。
「住宅を売るのに良い時期だ」との回答は72%(前月比マイナス2%)で、「悪い時期だ」の21%(前月比横ばい)を大きく上回った。
「今後1年間で住宅価格が上昇する」との回答は44%(前月比マイナス4%)、「下落する」との回答は25%(前月比プラス5%)だった。「下落する」と回答した人の割合は2022年1月の調査で底を打ってからは徐々に上昇しており、住宅価格が下落するとの見通しが広がりつつあることが示唆されている。
「今後1年間で住宅ローン金利が上昇する」との回答は73%(前月比プラス4%)で、コロナ禍が始まった頃の一昨年同月比でプラス40%の大幅増。「下落する」との回答は5%(前月比プラス1%)で、一昨年同月比でマイナス18%の大幅減となった。
失業及び世帯所得に関しては、「失業の懸念はない」との回答が84%(一昨年同月比プラス8%)、「世帯所得が1年間で大きく上昇した」との回答が26%(一昨年同月比プラス6%)で、消費者の景況感は良好だといえる。
連邦住宅抵当公庫のチーフエコノミスト、ダグ・ダンカン氏は「インフレ、住宅ローン金利の上昇、住宅価格の高騰という家計を締め付ける制約の中で、消費者が厳しい住宅購入事情を伝え続けているため、4月のHPSIはコロナ禍の最初の数か月以来の最低水準まで低下してしまった」と解説している。
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