飯田グループホールディングス(東京都武蔵野市)の兼井雅史社長は5月16日、ロシア事業を継続する考えを示した。同日配信した22年3月期の決算説明動画内で明らかにしたもの。
兼井社長は「適正な意思決定を行うために、正しい情報の収集と分析を行う」とした上で、「グループの資材調達会社を通じてあらゆる手段を講じ、柔軟に対応できるよう体制を整える」と説明。西野弘専務は、「ロシア木材の輸出制限による影響は極めて限定的で、損益への影響は軽微」だとした。
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同社は昨年12月、ロシア最大級の林産企業グループRussia Forest Products(RFP社)を買収。RFP社の年間原木伐採量は、同グループが供給する戸建住宅の年間木材使用量(170万m3)に相当することから、ウッドショックなどの市況変動に影響されずに、木材を安定的に調達できると期待されていた。その後、ウクライナ侵攻により事業環境が大きく変化。当初の計画通りにシナジー効果を創出することが、現状困難となっている。
決算報告によると、RFP社の主な輸出国は中国で、日本向け販売構成比は売上高の10%程度。さらに同社との取引実績は約20億円と、直接取引規模が小さかったことから、輸出入制限による影響は限定的で、戸建分譲事業への影響もなかったとしている。国際的に木材価格が上昇していることから、「収益的にはむしろプラス効果がある」と見込む。為替についても侵攻前よりルーブル高となっており、マイナス影響はないとした。
代替材への切り替えが求められている単板・原木・チップの調達については、グループ内の木材メーカーの調達能力を生かして対応する考え。一方、製材・ラミナについては、ウクライナ産の木材の調達が困難になっていることに加え、米国での住宅需要が高まっていることから、グローバルでの調達環境のさらなる悪化を懸念している。
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