大成建設(東京都新宿区)はこのほど、CLT(直交集成板)などの木質系材料と石こうボードを組み合わせた高い遮音性能と意匠性を持つ間仕切壁「T-WOOD Silent Wall」を開発したと発表した。
同間仕切り壁は空気音遮音性能試験の結果、高い遮音性能が求められる共同住宅やホテルの壁単体の性能と同等の遮音等級Rr-55を達成。遮音性能と耐火性能が建築基準法に適合しているため、非耐力壁として建物の全層で用いることができるという。一般的な高さの空間に適用する「一般仕様」のほか、吹抜空間などに適用する遮音等級Rr-40からRr-45の「大空間仕様」も用意し、空間や壁の構造様式などを選択可能。遮音等級を低下させずに、厚み60mm以上のCLTを壁の両面または片面に適用することができる。戸境壁10m2あたり二酸化炭素換算値で約0.7トン貯蔵可能なため、100戸規模の共同住宅では木材使用量は約120m3、約70トンの二酸化炭素貯蔵が可能。スギ人工林約2300m2の二酸化炭素貯蔵量に相当するという。
近年、共同住宅やホテル客室に加え、オフィスや商業施設等においても間仕切り壁に対する高遮音性能へのニーズが高まっている。また、CO2削減に向けて建築物への木材利用の促進が求められるなか、大判パネルで製造されるCLTは木材使用量を増大させる材料として注目されている。同社は、軽量で密度が小さい木材は遮音に不向きで、CLT単体では間仕切壁として積極的に採用されていなかったことから同技術を開発。木質仕上げの空間構築が可能なCLTなどの木質系材料と、遮音間仕切壁で用いられてきた石こうボードを組み合わせることで、木材使用量の増大に寄与するとともに、高い遮音性と意匠性を実現した。
同社は、同技術の適用によって遮音性能に優れた木質仕上げの建築空間を提供するとともに、木材の利活用促進による脱炭素社会の実現に貢献するとしている。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。