厳しさを増す住宅市場で、自分らしく生き残ることを模索する2022年の「小さな工務店のためのブランディング講座」。ルーツ、ヒストリーに続いて、今回は「ビリーフ(譲れないもの)」を取り上げます。自社のビリーフは何か、考えながら読んでください。
絶対に譲れないものはなにか、明確に打ち出す
ブランディングを考える際、設計・施工、素材、性能、価格、顧客対応など、それぞれの局面で「ここだけは譲れない」というポイントがどこにあるかを、今一度振り返ってみてください。これは概念的に考えるより、具体的なシーンで考えてみることをおすすめします。
たとえば、お客様から「予算的にこれしか出せない」と言われたとします。そういうシチュエーションで“素材を自然素材から新建材にグレードダウンする”のか、“窓や断熱のレベルを低くする”のか、はたまた“家の大きさを抑えて提案する”のか、どの方法を取るか考えるということです。
工務店によっては「すべて妥協できないから、その予算のお客様はお断りする」というところもあるかもしれませんが、予算や家族構成、敷地などの条件で、なにか削らないといけないとしたとき「なにを捨てて、なにを残すのか」を考えることで、ブランドの「芯」の部分がはっきりと見えてきます。
そうして見えてきた「譲れないもの」=brief(信念)を明確に打ち出すことで、そこに共感してくれる層からの支持を勝ち取ることができるようになります。
揺るぎない信念から生まれる行動の積み重ねが
ブランディングの礎になる
弊社のクライアントで、「2階はビニールクロスでいいです」と言ったお客様に対して「ウチはたとえ目につかない部屋でも、自然素材しか使いません。それが○○工務店の家なので」とその要求を突っぱねた会社がありました。「火災時の危険はもちろん、日常の空気質のよさを考えたら、全ての部屋で調湿性のある自然素材を使うのが一番」という信念がそうさせたのですが、・・・・・・
この記事は最新号『新建ハウジング5月20日号 15面』に掲載しています。
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