ウッドショックによる木材価格の高止まりや建材の値上げ、給湯器・温水洗浄便座等の納期遅延など、住宅づくりに関連する環境の悪化の状況を把握しようと、全国建設労働組合総連合(全建総連)はこのほど、工務店アンケート調査を実施。4月25日に結果を公表した。工事原価が「かなりあがった」と回答した工務店が53.3%を占めた一方、値上がり分を「お客様に負担してもらった」との回答は40.3%にとどまり、多くの工務店が値上がり分を自社で負担している現状が浮き彫りになった。
調査は全国の元請工務店を対象に、3月11日から4月15日に実施。1097社から回答を得た。給湯設備の納期に関して聞いたところ、3月に納品されたものは、発注から納品まで平均66.7日かかっており、最大240日という回答もあった。設備の納期遅延によるキャンセルは、リフォームで7.6%、「工事を待ってもらっている」はリフォームで52.1%あり、受注工事への影響が出ている。
工事原価は「かなりあがった」53.3%、「上がった」42.7%となり、木材関係では構造材、合板、羽柄材・造作材とも、「50%以上値上がり」が3割上を占めた。
見積価格・工事費について、「大きな影響が出ている」は58.8%、「少し影響が出ている」38.8%で、20%以上の上昇は、リフォーム工事で33.1%、新築で44.2%に上った。
値上がり分を「お客様に負担してもらった」は40.3%。一方で、「一部自社負担(負担割合5割未満)」が36.5%、「すべて自社負担」が14.5%、「一部自社負担(負担割合5割以上)」8.7%あり、過半数が自社負担していた。
売上高が「下がった」は45.1%、利益率が「下がった」は64.9%、受注は「悪化」が49.8%となるなど、厳しい経営状況が伺えた。
受注悪化の理由としては「客が建材高騰の様子を見ている」53.2%、「建材・設備の納期が不確かで受注を断っている」44.4%、「工事金額が高く契約が成立しない」43.4%となっている。
資金繰りに関しては、年末まで現状が続くと心配との回答が41.3%で、既にコロナ特別融資等の融資を受けている回答者(公庫 13.5%・民間 13.3%)も多く、資金繰りへの負担が高まっている。
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