人板を重ね合わせた接着剤も塗料も使用していない積層の木材パネルの建物で、浴室の壁も床天井も全てこのパネル、という勇気ある選択をしたシュヴァルツヴァルトにある住宅の建て主を訪問したことがある。浴室には小さい窓があるだけで、換気口はない。冬場、窓を閉めたままシャワーを浴びても、鏡は全く曇らないそうだ。理由は「呼吸」できる自然素材の建材だからだ。
換気の目的の1つは、料理やシャワー、人間の呼吸で生じる「余分」な水蒸気を室内から外へ出すことだ。余分と強調しているのは、人間が健康に生活するためには、空気が適度な水蒸気を含んでいることが必要だからだ。水蒸気自体が悪ではなく、余分になったとき、科学的に正確に表現すると、「飽和」したときに、水蒸気(気体)が液体になり、建具や躯体の表面に付着して問題になる。この現象を結露といい、カビを発生させる原因になる。
省エネ建築における湿度の考え方
空気が含有することができる最大水蒸気量は、温度によって変わる。温度が高いほど、空気はより多くの水蒸気を含有することができる。例えば、気温が20℃の時は、空気は1m3あたり最大17.3gの水蒸気を含有できる。0℃になると、それが4.8gと、3分の1の量になる。この最大値を飽和点といい、これを超えた余分な水蒸気が水滴となり結露が起こる。気温が低いほど飽和点が低いので結露が起こりやすい。また、ひとつの部屋で暖まり湿気を含んだ空気が、冷たい空気の別の部屋に移動し、冷やされた時にも結露が起こる。よって・・・・
この記事は最新号『新建ハウジング紙面 5月10日号 11面』に掲載しています。
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