市川住建(新潟県新潟市)の市川隆志さんは、昨年末まで県内の工務店で設計業務を手がけていた建築士の川上智子さんを社員として迎え入れ、一人親方の大工や小さな工務店などのサポートを行う事業を、このほど本格的にスタートした。市川さんは、「住まい手に寄り添うことができる家づくりや災害復旧応、技術とものづくりの楽しさを次世代につないでいく役割など、小さなつくり手による家づくりの灯を決して絶やしてはならない」と訴える。
同社は2月、新たに社内に「calm(カーム)建築設計」を設立。県内の構造設計事務所や工務店などで長年にわたって設計業務を手がけてきた川上さんが、そのスキルと経験を生かしながら、他社のプラン作成や作図、各種計算、申請などの業務を代行する。市川さんは「実は経営も設計も現場もこなす一人親方の大工や小さな工務店の多くが業務の一部をアウトソーシングできたらいいなと考えているが、外部への発注の仕方自体が分からずに、結局、自ら抱え込んでいるケースが多い」と指摘する。
市川さんと川上さんは「“部分的なお手伝い”を得意とするcalm建築設計によって、職人さんや工務店さんの“円滑剤”を目指したい」と抱負を語る。「相談でも雑談でも、気軽に連絡いただけるような存在になりたい」と川上さん。「どんな業務を、どのように切り離せばいいか」といったところから臨機応変に対応する。市川さん、川上さんとも「地域の建築業界を盛り上げていくために、『新しいことにチャレンジしたい』という思いを持っている人たちをサポートしたい」と力を込める。
厳しい市場環境に対応
市川さんは、深刻さを増す資材価格の高騰や、省エネ基準の適合義務化、4号特例の縮小検討といった法制度改正の流れなどを踏まえながら、「いまの市場の環境は、まるで小さな事業者に対してゲームからの“退場”を宣告しているかのようだ」と憂う・・・・
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⇒ 続きは、最新号・新建ハウジング2022年5月10日号20面に掲載しています。
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