現場を重視している工務店ほど“きれい”にこだわる理由
関東で年間60棟ほどの注文住宅を手掛けているK社は、この現場きれいから始めて信頼を得て評判が高まってきた会社です。昔はクレームが多い現場でしたが、現場きれいの取り組みの意味をまずは社員が理解し、実践していくことで業者・職人も「今回は本気だな」と伝わるようになってからは、業者会も一緒に取り組むようになりました。
この会社ではこんなエピソードがありました。現場近くのゴミ集積場で、収集車がゴミを回収したあとに現場監督がほうきを持って走って行き掃除。そういう姿を見ていた自治会長さんが、わざわざ会社へ電話して褒めていただいたということがあったそうです。近隣に対しても信頼を得た例です。こんなことがあれば、お施主様も「この会社を選んで良かった」と心から信頼したのではないでしょうか。
現場を重視している会社は、例えば「きれいにする」という意味を、社員はもちろん業者・職人にもいつも伝えています。業者会において、「何故現場をきれいにするのか?」「お客様に喜んでいただくにはどうするか?」といったテーマで話し合ったりします。評価の高い職人さんは表彰し、優先的に仕事を依頼したり単価を変えたり、ちょっとしたボーナスを渡す例もあります。このようにしてベクトルを合わせ、現場を徹底的に磨き、近隣の方へアピールすることで評判が上がっていきます。
なぜその行動が信頼獲得につながるのか
しかし多くの会社は、現場をきれいにしようという掛け声はいいですが、はっきり言って続かないです。よくあるのが「他社の現場を見た、同じようにやってみよう」と勢いはいいけれど、次第に「お金がかかる、監督が忙しい、そこまでやる必要あるの?」という理由でだんだん疎かになり、いつの間にか元に戻ってしまうパターンです。経営者も「忙しいから仕方ないか」と思ってしまいそれでおしまい。
次、何か新しいことをしようと思うと社員からは「また何か始めるぞ」という諦めた感じの受け身状態に。こんな会社はとても多いです。でも考えて欲しいのは、「忙しいから品質に手を抜きますか?」ということです。現場をきれいにするとは、忙しいから省くということではありません。品質と同じレベル「必要不可欠な取り組み」として考えてください。何故なら、その行動が信頼獲得とその先の未来のお客様につながるからです。途中であきらめないで、評判になるぐらい徹底的におこなってみてください。
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