脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会「eシフト」は4月20日、経済産業省の電力・ガス基本政策小委員会制度検討作業部会で検討されている「電源投資の確保に関する新たな制度」について、新規導入に強く反対するとした声明を公表した。
声明は、検討されている「発電・供給時にCO2を排出しない電源」(脱炭素電源)は、火力発電に組み合わせる新技術である水素・アンモニア発電やCCS、原子力だと指摘。環境負荷や安全性の観点から問題が大きくコストも莫大なこれらの「脱炭素電源」は新設するべきではないとした。
また、石炭火力など化石燃料と水素・アンモニアの混焼も脱炭素電源と位置づけられようとしていることについて、「現在想定されている水素・アンモニアは海外で化石燃料を改質してつくる『グレー』のもの」と指摘。既設火力発電所の水素・アンモニア混焼に向けた改修は「古い火力発電の延命策」などとして、導入に反対した。
声明は、既存の火力発電所の老朽化や非効率石炭火力発電所の閉鎖によって、「電力需給逼迫の恐れや価格上昇がより深刻化することは確実」としながらも、「大幅な省エネルギーやエネルギー効率化による需要削減と、分散型の再生可能エネルギーを融通して使うしくみ」を進めるべきと強調。送配電網や需給調整、小売制度など、電力システムのあり方全体の大きな改革が必要だとした。
その上で、「大規模な火力・原子力電源が新設されれば、これまでのシステムを維持する」ことにつながり、「エネルギーシフトを遅らせ、喫緊の課題である気候変動対策にも逆行」するとして、議論の中止と導入見送りを求めた。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。