矢野経済研究所(東京都中野区)は5月9日、国内の床材市場(複合フローリング、カーペット、建材畳、塩ビ系床材、フリーアクセスフロア、乾式遮音二重床、床タイル、塗り床材、住宅用床暖房システムの9分野)の調査結果を発表した。2020年度の市場規模を、前年度比12.1%減の4534億円と推計した。コロナ禍の影響で住宅・非住宅の着工件数が減少したことに連動し、9分野全ての床材で前年度比マイナスとなった。
分野別でみると、部材となる台板の約7割を輸入品に頼っている複合フローリングは、2021年度は輸入木材の供給不足や価格高騰で、多くの企業で生産調整や価格改定を実施。また、主にマンション向けの床材である乾式遮音二重床も、主原料の木質パーティクルボードの供給不足に、生産・出荷調整などで対応。乾式遮音二重床は、非住宅向けなど新規用途開拓で市場拡大してきたが、出荷調整などで新規開拓活動に向けた動きがとりづらい点もマイナス要因となった。
2021年度の国内市場規模は、前年度比0.1%減の4528億円を見込む。主に住宅向け床材である複合フローリング、カーペット、乾式遮音二重床、床タイルの市場や、オフィス向けのフリーアクセスフロア市場は、新設住宅着工戸数や都市部の再開発案件の増加などにより回復が期待される。一方、非住宅向け用途が中心の塩ビ系床材や、非住宅向けの塗り床材は、店舗や工場向けなどの需要が低下していることから、市場の本格的な回復には時間を要する見込み。分野によって回復規模が異なることから、2021年度の床材市場はほぼ横ばいで推移する見通し。2022年度は4574億円と予測する。
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