高性能住宅に助成金や税制優遇
東京ゼロエミ住宅助成事業が4月から拡充
東京都では、省エネ住宅の新築に対する助成制度「東京ゼロエミ住宅」について、2022年4月から助成件数を拡大、税制優遇も含め、拡充を図る。この制度の改変にともない、エヌ・シー・エヌでは、4月4日にオンライン説明会を実施した。現行同等を水準1とし、より高い省エネ性能等を備える水準2、3を新設するなど変更点は多岐にわたるが、性能の高い家づくりに取り組むビルダーにとっては恰好の追い風になりそうだ。
「東京ゼロエミ住宅」とは、東京都が2019年から実施している制度で、家庭における省エネルギー対策を推進し、高い省エネ性能を持つ都内の戸建て住宅、集合住宅の普及を目的としたもの。一定の基準に適合する住宅を新築する建築主に建築費用の一部を助成する事業だ。2022年度では前年度の約4倍にあたる108億円の予算が配分され、支給する戸数も戸建て住宅で約1万戸を想定。これは東京都の年間戸建て新築数の約3分の1に相当する。
エヌ・シー・エヌが開催したオンライン説明会で講師を務めた東京都環境局 地球環境エネルギー部 環境都市づくり課担当課長代理によれば、「予算拡充により今年度は、申請は期間内随時、無抽選になるのでは」とのこと。より利用しやすくなりそうだ。今年度の制度の正式な発表は5月の連休明けが想定されているという。
適用基準は3段階 より性能の高い住宅へ
今年度の「東京ゼロエミ住宅」の大きな改変のポイントは、適用基準の多段階化だ。現行同等を水準1とし、より高い省エネ性能等を備える水準2、3を新設する。木造住宅の場合、基準の目安としては、水準1で「省エネ基準から窓を中心に強化し、30%削減 」、新設した水準2で「ZEH相当。省エネ基準から35%削減」、水準3では「北海道相当。省エネ基準から40%削減」としている。
水準を定める「性能規定」については、外気に接する開口部の断熱性能と、照明・暖房・冷房・給湯設備の省エネルギー性能の2点で一定条件をクリアすることが前提となる。そのうえで、外皮平均熱貫流率(W/m2K)と設備機器に関する省エネルギー性能(BEIZE)の数値によって水準1~3のいずれに適合するか確認される(図1)。また、木造以外の構造はUA値の向上が難しいとの理由から( )内の数値と基準の緩和措置がとられている。
最高210万円の助成金を交付
さらに国の補助金不動産取得税の減免措置も
各水準に適合した場合の助成金は、戸建て住宅の場合、1戸あたり水準1で30万円、水準2で50万円、水準3で210万円となる(図2)。さらに太陽光発電システムについても一定の基準を満たせば追加補助が受けられる。
また助成対象となる住宅に対して、①太陽光発電システムの設置、②水準2または水準3の基準を満たしていることを条件に、不動産取得税の減免措置を受けることも可能(図3)。そのほか、国補助事業である「こどもみらい住宅支援事業」や「地域型住宅グリーン化事業」との併用ができる方向で検討が進められており、合計すると最大500万円を超える助成になる可能性がある。
以上の改変内容が試行されるのは2022年4月1日着工分から。すでに旧基準で設計確認をうけた物件でも取下げて、新基準を再申請することができる。
説明会の後半では、断熱・設備仕様の具体例や認証・補助金交付の流れなどが説明された。講師を務めたのはエヌ・シー・エヌ環境設計部 部長 前田哲史さん。「自然エネルギーの活用や高効率の設備の採用など要点を押さえれば、建材コストを抑制しながら、東京ゼロエミ住宅の認証を受けることが可能です。当社は、LCCM住宅整備推進事業の支援も実施しており、BEIが良くなる詳細な計算をご提供しています」と語った。オンライン説明会の模様はyoutube動画でも視聴できる。都内で新築予定の物件がある場合には事前に視聴しておくと参考になるはずだ。
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