東京商工リサーチは4月26日、 電力小売販売を主力とする企業(新電力専業企業)212社の2021年の業績動向をまとめた。2021年の決算(1月期―12月期)は赤字が56.3%と半数を超え、前期(同24.1%)から大幅に上昇した。
最新期決算で3期連続比較が可能な137社の売上高の合計は1兆8699億円で、前期比2348億円増(14.3%増)となった。「電力小売自由化で、大手電力会社から顧客を争奪しながら新電力市場を拡大、売上を伸ばした」としている。一方、当期利益の合計(対象139社)は593億円の赤字。前期の326億円の黒字から大幅に落ち込んだ。「2021年1月以降の電力需給ひっ迫で、調達価格の高騰が影響、利益を押し下げた」とした。
最新期の損益が判明した181社中、黒字79社。赤字は102社(56.3%)。赤字企業は、前期(2020年)が24.1%(178社中、43社)、前々期が29.6%(155社中、46社)だったが、最新期は半数以上が赤字に転落した。「自前の発電施設や固定価格の調達先を持たず、JPEXへの取引依存度が高い新電力ほど事業環境が悪化し、利益確保が難しかった」と分析した。
2021年以降に経営破たんした新電力15社は、すべて専業企業。東京商工リサーチは「採算悪化による事業撤退は、他に事業の柱を持つ併営組に対し、一本足打法の新電力専業企業にとって死活問題に直結する」と指摘。「調達コストの高騰が続く局面で〝電気を安く仕入れ、高く販売する〟ビジネスモデルが崩壊したことで、利ざや商法に頼る新電力ほど根底が揺らいでいる」とし、ウクライナ危機によるエネルギー価格の高騰など事業環境の劣悪化は避けられず「新電力業界は淘汰リスクが高まり、大きな岐路に立たされている」とした。
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