帝国データバンクは4月21日、 2022年1-3月の全国企業「休廃業・解散」動向調査をまとめた。休廃業のトレンドが、ゼロゼロ融資(無利子・無担保融資)の返済見通しが立たない慢性的な経営不振企業の「ギブアップ」へと変化している可能性を指摘。 特に、「建設・不動産」は底打ちから増加に転じる可能性があると強調した。
同調査は、帝国データバンクが調査・保有する企業データベースのほか、各種法人データベースを基に集計した。
2022年1-3月に全国で休廃業・解散を行った企業(個人事業主を含む、速報値)は1万3251件(前年同期比4.2%減)となった。ただし、資産が負債を上回る割合は前年同期を下回る63.3%。利益が黒字かつ資産超過の健全企業が占める割合も6.6%に止まり、前年同期を下回る水準が続いている。
ゼロゼロ融資や資本性劣後ローンなどで休廃業・解散は抑制されてきたが、今年はゼロゼロ融資の元本返済と利払いが本格化する中小企業が多くなる見通し。そのため、休廃業のトレンドは、「安定した事業継続が可能だった比較的早期に事業を畳む〝あきらめ〟のケースから、ゼロゼロ融資の返済見通しが立たない慢性的な経営不振企業の休廃業=ギブアップへと潮目が変化している可能性がある」と指摘した。
業種別では、全7業種で前年同期を下回った。ただし、建設業は前年同期の1511件から1502件、不動産業は439 件から431 件と、減少幅が非常に小さく、ほぼ横ばいで推移した。「建設業では内装工事や土木工事など、不動産では土地賃貸業などでそれぞれ増加傾向が目立っており、今後業種全体でも底打ちから増加に転じる可能性がある」としている。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。