戸建てリノベに欠かせないのが耐震性能の向上。木造住宅はつくられた年代により仕様がまちまち。特に旧耐震基準の建物の場合は基礎補強のノウハウが必要だ。数百事例の戸建てリノベを手掛けてきたハイウィル(東京都練馬区)代表の稲葉高志氏に基礎補強を中心に耐震改修の勘どころについて聞いた。
ポイント①
耐震改修にはガイドラインがある
◉木造住宅のリフォーム分野で頻出する「耐震補強」「耐震リフォーム」などは公的な呼称ではなく、民間企業による任意な提案
➡全国の自治体による補助金を利用に際して求められるのは「耐震改修」である
◉耐震改修は日本建築防災協会発行の「木造住宅の耐震診断と補強方法」に記載した内容がガイドラインとなる
◉「ガイドラインに示された手法=耐震改修」であり、自治体の補助金を活用する際にはこのガイドラインに従う必要がある。そこから外れる手法は一切評価されない
➡耐震改修の際には補助金を利用するかどうかで補強計画が大きく変わる
ポイント②
無筋基礎だと構造評点は3割減
◉耐震改修は基礎が鉄筋コンクリートであることが前提。その上で耐震改修における耐震性能の指標である上部構造評点(Iw値)は基礎から上の軸組部分だけを評価している
➡評点1.0は新築における現行法規同等、評点1.5は耐震等級3に概ね相当する
◉無筋基礎に対しては補強義務を求めない方針が平成25年耐震改修促進法改正で示されているが、首都圏は地盤がよい地域が少ないこともあり、上部構造の耐力判定の際に3割減(0.7掛け)で評価されることが多い
ポイント③
既存基礎は3タイプに分かれる
◉前出のガイドラインでは耐震改修の対象となる既存建物の基礎は以下の3種に分類される。①鉄筋コンクリート基礎が前提(基礎仕様Ⅰ)、②無筋コンクリート基礎など(基礎仕様Ⅱ)、③玉石基礎・ブロック基礎(基礎仕様Ⅲ)
◉②③の無筋基礎の場合・・・・
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この記事は、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン2021年12月号/工務店の経営を支える設計力/⼾建てリノベを究める② 性能向上リノベ設計施工テクニック』(2021年11月30日発行)P.112~123に掲載しています。
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