アメリカ国防総省と建設技術会社ICON(アメリカ・テキサス州オースティン)はこのほど、3Dプリンターを活用した訓練兵舎の建設を共同で行うことを発表した。
アメリカ陸軍の駐屯地があるテキサス州フォートブリスに、5700平方フィート(約529.5平方メートル)を超える広さの兵舎が3棟建設される予定で、それぞれの兵舎が南北アメリカで最大の3D建築物となる見込みだ。
これまでアメリカ国防総省の統一施設基準(United Facilities Criteria, UFC)に3Dプリントされたコンクリート・ウォール・システムの仕様が含まれておらず、3Dプリンター建設を行う企業はプロジェクトの入札に参加できなかった。このプロジェクトで建設される兵舎は、このほどアメリカ国防総省が発表した新たな基準に準拠した初の建築物となる。
アメリカ国防総省はリリースで、「この最先端技術を使った施設の建設は、人件費を節約するだけでなく設計時間も短縮し、建設速度を向上させることができる」と、3Dプリンター建設技術の利便性に言及。さらに、「この革新的な技術を、兵舎以外の施設を迅速に建設するために活用する方法を検討している」と、技術の将来性に期待をにじませた。
ICONで公共部門を担当するブレンダン・オドナヒュー氏は「国防総省全体におけるICONの技術の多様な活用例を確認し、快適でレジリエントな3Dプリント兵舎をフォートブリスの兵士のために提供することができる。アメリカ陸軍との協力と国防イノベーション部隊(Defense Innovation Unit, DIU)とのパートナーシップの継続を光栄に思う」と述べた。
ICONは以前にも、アメリカ海兵隊の3D建設業務を国防イノベーション部隊と共同で行ったことがある。また、2021年にはテキサス州軍部と提携し、テキサス州バストロップにある訓練兵舎の設計及び3Dプリンター建設を行っている。
全米有数の住宅会社Lennar(アメリカ・フロリダ州フォンテインブルー)と共に、100戸の3Dプリント住宅からなる住宅街を建設する計画や、NASAの火星探査における3Dプリント居住施設に関する契約などで、注目を集めているICON。3Dプリンター建設の有用性が認められ、大型プロジェクトが次々に立ち上げられていくとともに、ICONがリーディングカンパニーとしての存在感を見せている。
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