社員20人のうち半数を刻みができる大工が占める、なんば建築工房(岡山県倉敷市)は、職人技術を生かせるリフォーム事業の拡大を図りながら、特に地域性を考慮して、古民家リフォーム(改修・再生)の市場開拓に力を入れる。
社長の正田順也さんは「古民家は職人の技術さえあれば、競合が少なく受注確率が高い市場だ。伝統の職人技術を継承する自社の強みを生かせる」と話す。
正田さんは、パワービルダー勤務を経て先代社長の娘婿として入社し、8年前に40歳で社長に就き、事業を継承した。1887年(明治20年)創業の同社は、伝統の木の家づくりを継承する老舗工務店。社員20人のうち半数が刻みのできる大工で、81歳を筆頭とする常用大工10人も伝統技術の継承者だ。正田さんは「職人経験がない自分が実感したのは、廃れつつある伝統的な技術を継承することの大切さと、職人が職人を現場で教える徒弟制の良さ」とし、「これを未来に継承することが社長になった自分の使命」と考えたという。
新築先細りに備える古民家リフォーム県内No.1に
新築工事の受注の先細りを見越して、不動産部を立ち上げるとともに、リフォーム事業の拡大に踏み切った。以前は6~7割あった新築の売り上げを3~4割(年間10棟前後)に抑え、その分リフォームを伸ばした。
正田さんは、社長就任から3年目に、社員全員の前で「古民家リフォームで岡山県一番を目指す」と宣言した。「一般的な新築住宅の大工手間が1カ月程度であるのに対し、古民家リフォームだと5~8カ月を要する。手仕事を生かせる場が格段に大きい」との思惑が背景にある。・・・・・
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