米国共和党のブルース・ウェスターマン下院議員が主導する「No Timber From Tyrants Act」に対し、他の議員や業界関係者からの支持が続々と集まっている。「No Timber From Tyrants Act」は「暴君からの材木禁止法」という意味で、ロシアとベラルーシからの材木輸入を禁止する内容の法律だ。
同国における軍事行動に対して経済制裁を科す一方で、アメリカ国内の林業を再活性化し、新たな雇用を創出する狙いがある。
全米建設業協会(National Association of Home Builders)のジェリー・コンター会長は声明で、「『暴君からの材木禁止法』は道徳的、経済的に必要なものであり、直ちに制定される必要がある」と制度の制裁的な側面への支持を強調。
さらに「住宅のアフォーダビリティ(住宅の適正費用負担)を改善するために、責任を持って国産木材を増産することも求められている」と制度によって米住宅市場が受けうる恩恵にも言及した。
国際的な森林認証制度であるPEFC森林認証プログラム(Programme for the Endorsement of Forest Certification)や森林管理協議会(Forest Stewardship Council)は、ロシアとべラルーシ産の木材を「紛争木材」とみなし、認証製品への使用及び認証材としての扱いを認めないことを既に明らかにしている。
米議会調査局(Congressional Research Service)の調査によると、2021年、アメリカはロシアとベラルーシから合わせて5億米ドル(約635億円)以上の木材製品を輸入している。ロシアは世界第4位の木材輸出国であり、その輸出規模は合計で120億米ドル(約15.3兆円)にも上るという。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で取引される材木先物の価格は、1000ボードフィート(約2.36立方メートル)あたり923.90米ドル(約11.8万円、4月18日現在)。
900米ドル付近を推移するのは、2022年に入ってからの価格としては低めだが、「ウッドショック」前と比べると依然として高水準だといえる。ロシア材を禁輸とした各国が国産材での代替をうまく進めることができなければ、再び高騰する可能性もある。
【こちらの記事もおすすめ】
・《ウクライナ危機》各国がロシア非難-木材輸入禁止を要請
・ロシア・ウクライナ情勢で「今後マイナス影響」木材懸念の声
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。