古民家カフェや古民家レストランなどを改修して営業店舗とする事業は、人気があるものの収益化するのは難しいと言われる。ところが、NOTE(藤原岳史代表)が兵庫県丹波篠山市を起点に始めた古民家再生ビジネスは現在完成したものだけで全国に24カ所、100棟と広がりを見せ、さらに拡大を続けている。事業のポイントは“なつかしくて あたらしい 日本の暮らしをつくる”ことにあるというが、そこには歴史的価値を持つ古民家再生を全国展開することで各地に残る建物を修復できる技術を継承したいという目的もある。
古民家再生で職人の修復技術を継承
収益化のカギはエリアマネジメント
兵庫県丹波篠山市を中心に活動しているNOTEは、2009年から同市の農村集落丸山集落で全12世帯のうち空き家だった3世帯をリノベーションし1棟貸しの宿泊施設「集落丸山」として再生する事業をスタートした。集落の住民がNPO団体を設立してNOTEとLLP(有限責任事業組合)を組んで採算のとれる手法と運営で成功を収めている事例だ。
NOTE代表の藤原さんは「目を向けたのは昔ながらの暮らしや日本の文化。添加物の一切入っていない食材が並ぶ食卓や美しい農村風景など、都会では得難い文化がここにある」と歴史的民家に特化した地域デベロッパーとして魅力を語る。
NOTEが大切にしたのが徹底した住民との対話。空き家というと条件次第で簡単に売買や賃貸契約ができると考えがちだが、「地方の空き家は所有者が簡単に手放すことはない」と藤原さん。「下手に知らない人に貸して集落の人に迷惑をかけたら」などの不安があるからだ。集落丸山を始める際、住民が何に困り、何を求めているのかを知るために集落のほぼ全世帯が参加するワークショップを開いた。この中で集落の持つ歴史や文化が住民に再認識された。
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