清水建設(東京都中央区)はこのほど、高い音響品質が求められるホール、劇場などのデザイン検討の合理化を目的に、初期設計段階の3次元CADデータから建物の音響性能をリアルタイムに予測・評価できる音響シミュレーションツールを開発した。音響の専門知識がなくても簡単に利用でき、設計者は専門家の知見に頼らず、プロジェクトの初期段階で音環境の良否を迅速に把握することが可能になるという。
同ツールでは、対象施設の3次元CADデータをインプットし、内装材の種類などを入力すると、音響解析プログラムによりシミュレーション。空間の用途に応じた基準値をもとに評価し、「受音点」ごとの評価などを3次元モデル上に可視化する。一連の操作は、3次元CADソフトウェアとプラグインツールのみで完結する。
同社によると、これまでの音響シミュレーションツールでは、高度な専門知識が必要なことに加え、専門家と意匠設計者との間で調整も必要になるため、結論が出るまでに多くの時間を要していたという。これに対し、同ツールでは、1人の設計者が一気通貫して音響性能を評価できるため、プロジェクトの初期段階からスピーディーに綿密な検討が可能になり、性能を確保しながら建設コストや設計期間の縮減を実現できる。
同社は今後、同ツールを、オフィス空間などの音響設計にも適用できるよう機能を拡張し、音響評価が必要な施設の受注拡大につなげていく考え。
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