帝国データバンク(東京都港区)はこのほど、企業の今後1年の値上げ動向に関するアンケート結果を発表した。主要製商品・商材、サービスの値上げ動向について聞いたところ、3割の企業が「2021年10月~2022年3月の間にすでに値上げした」(32.7%)と回答。「4月に値上げした/する予定」は25.7%、5月に値上げ予定は11.1%、6月は7.6%など、4月以降1年以内で値上げした、する予定の企業は43.2%となった。過去半年間ですでに値上げを行った、または今後1年以内で値上げする予定の企業は64.7%になる。
一方、「値上げしたいが、できない」企業は16.4%で、約6社に1社にのぼる。企業からは「安定した販売先があれば良いが、受注産業で競合もいるため、値上げすると競合に負けてしまう」(建材・家具、窯業・土石製品製造、静岡県)といった声があがるなど、値上げによる顧客離れを警戒している企業も少なくないとみられる。
すでに値上げを行った企業の割合を業種別にみると、2021年ごろから価格の高騰がみられる鋼材などの「鉄鋼・非鉄・鉱業」が59.8%と、全体(32.7%)を27.1ポイント上回った。次いで「化学品製造」(55.6%)が続く。今後1年以内に値上げを行うのは、「飲食料品・飼料製造」が73.1%と突出して高い。「飲食料品・飼料製造」および「化学品製造」は、すでに値上げを行った企業および今後1年以内で値上げ予定の企業が8割超となり、川下産業に影響を及ぼす可能性があるとした。
一方、値上げが比較的進まない業種に「運輸・倉庫」「不動産」があり、不動産では「値上げしたいが、できない」企業が28.6%と全国(16.4%)を12.2ポイント上回っている。
同社の「TDB景気動向調査」によると、3月における企業の仕入単価DIは過去20年で最高水準となった。原材料高に加え、昨今の人手不足や円安などによるコスト増は企業の収益力に大きな影響を及ぼす可能性があり、値上げの動きは続くと予測されている。同社は、コストアップを受けた企業で製商品の値上げの動きが相次いでいることから、今回の調査を実施した。有効回答企業数は1855社。
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