一般財団法人日本不動産研究所(東京都港区)はこのほど、東京都内5エリアおよび地方主要都市8エリアについて、過去3年間の店舗公募賃料データを収集・分析した店舗賃料トレンド「2022春」を公表した。21年下半期の1階賃料ランキングは、前回に引き続き1位が「銀座」月額坪単価7万5100円(前期比6%増)、2位が「新宿」同5万4000円(同5%増)だった。3位は前回4位の「表参道」同5万1500円(同4%増)がランクアップ、4位は前回3位の「渋谷」同4万6300円(同10%減)となった。5位は前回に引き続き「池袋」同4万4000円(同7%増)で、1~5位は前回と同様、都内エリアが占める結果となった。6位以下のエリアについては、「心斎橋」同3万7000(同9%増)、神戸同2万4700円(同3%増)、名古屋同2万3300円(同4%増)の順位がアップした一方で、横浜同3万3400円(同8%減)、福岡同2万2800円(同7%減)が順位を下げた。
新型コロナウイルスの影響が長期化し、飲食店舗は助成金等で営業を継続しているケースが多いことから、飲食店舗等が中心のエリアは回復の見通しがつきづらい状況。出店の動きも引き続き弱く、オミクロン株による感染再拡大が逆風となっている。募集件数は減少しているエリアもあるが、コロナ前と比較して高い水準で推移しているエリアが多い。移動制限などにより、富裕層の旅費・渡航費が国内消費に振り分けられていることなどから、ラグジュアリーブランドの売上が好調で、プライムストリートでの出店の動きも堅調。プライムエリア等では、底堅いエリアがある一方、繁華性が劣るエリアでは空室期間が長期化するなど、二極化が進んでいる。各エリアとも、ビル上層階への新規出店は美容系クリニックやコワーキングスペース等、コロナ禍でも出店意欲の高いサービス業態が中心となっている。
同研究所は、新型コロナウイルスの収束後においても、テレワークの普及やeコマースの利用拡大による消費行動の変化や、店舗のショールーム化の促進、郊外の店舗需要の増大など構造変化が起きる可能性に留意が必要だとしている。
同研究所は、商業コンサルタント会社のビーエーシー・アーバンプロジェクト(東京都渋谷区)とタイアップし、過去3年間の中心商業地の店舗公募データを集計。エリア別、フロア別のトレンドを分析し、年2回更新・公表している。
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