建設業における週休2日の確保をはじめとした働き方改革をさらに加速させるため、国土交通省は「長時間労働の是正」「給与・社会保険」「生産性向上」などの施策を推進しています。
※この記事は、『新建ハウジング別冊・プラスワン3月号/生活者の心をつかめ!5G時代の工務店動画作戦』(2020年2月29日発行)をデジタル配信用に再編集したものです。
建築業界は、土曜日も工事をするのが当たり前。さらに朝早くから現場に行き、夜は事務所に戻りデスクワークをするという長時間労働を皆が実行してくれるからこそ、今の「工期」と「請負代金」が成り立っているのです。
これが、週休2日となり、長時間労働もしてはならないとなると、必然的に従業員には残業代や休日出勤手当が収入として入らないことから、「基本給だけでは生活が成り立たない」というリスクになります。他方で、会社に無断でコンビニなどで深夜のアルバイトをし、無理がたたり体を壊してしまう会社員も存在するところです。
今回は、住宅会社経営者として、従業員の副業・兼業に対してどのような対応をとるべきか解説します。
1 副業・兼業制限の可否
(1)原則
従業員の副業・兼業については、原則として禁止することはできません。
裁判例も「労働者は、勤務時間以外の時間については、事業場の外で自由に利用することができるのであり、使用者は、労働者が他の会社で就労(兼業)するために当該時間を利用することを、原則として許されなければならない」(京都地判平成24年7月13日労判1058号21頁)としています。
(2)例外
もっとも、労働提供上の支障となる場合や、企業秘密が漏洩する場合、企業の名誉・信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合、競業により企業の利益を害する場合など例外的な場面に限り、副業・兼業を制限することが許されています(厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」。前掲京都地判平成24年7月13日も参照)。
そして、上記裁判例は、使用者が、上記のような事態が生じるか否かの判断のために、「労働者に事前に兼業の許可を申請させ、その内容を具体的に検討して使用者がその許否を判断するという許可制を就業規則で定めることも、許されるものと解するのが相当である」(前掲京都地判平成24年7月13日)としています。
Pages: 1 2
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。