『工務店カンファレンス2022』(4月19日、主催・新建ハウジング)では、「ソーシャルグッドで生き残れ!」をテーマに掲げ、地域工務店が担っている社会的な役割についても考える。
脱炭素化が叫ばれるなか、温室効果ガス排出量削減の取り組みを、小さな地域単位で実現し、あわせて地域経済の循環と雇用創出、地域社会の活性化、市民1人1人の幸福度の向上など複合的な地域社会課題の解決につなげる「持続可能な地域づくり」が注目されている。
そのなかで「地域工務店は先進的な役割を果たすことができる」と説く、環境政策などを専門とする武蔵野大学工学部環境システム学科の白井信雄教授に話を聞いた。
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白井信雄 教授
1961年静岡県浜松市三ケ日町生まれ。大阪大学大学院工学研究科環境工学専攻。博士号(工学)。民間シンクタンク勤務、法政大学サステナビリティ研究所教授、山陽学園大学地域マネジメント学部教授を経て、2022年4月より現職。専門分野は環境政策、持続可能な地域づくり、気候変動・エネルギー政策、地域環境ビジネスなど。主な著書に「SDGsを活かす地域づくり」(晃洋書房)、「持続可能な社会のための環境論・環境政策論」(大学教育出版)、「再生可能エネルギーによる地域づくり」(環境新聞社)、「環境コミュニティ大作戦 資源とエネルギーを地域でまかなう」(学芸出版社)など。
気候変動への対策が、21世紀に人類が解決しなければならない最優先の課題となっている。近年、世界各地で発生している異常気象、つまり暴風雨、洪水、干ばつ、熱波、森林火災などは、人類による化石燃料の使用に起因することは明らかだ。すでに人間活動の影響は、地球環境を崩壊に至る極限に近い状態に達しており、気候変動によって私たちの生命や暮らしが脅かされ、まさに人類生存の危機となっている。
また、グローバル化した経済の中で、気候変動による国内外の何処かの社会・経済活動の停滞が、私たちの暮らしに間接的な被害を及ぼすことも明らかになってきた。今後、私たちは従来の延長線上にはない、大幅な社会転換とライフスタイル転換変革が求められていると考えなければならない。
2022年2月末現在、全国あわせて598の都道府県・各市町村が「カーボンゼロ宣言」を表明しており、総人口の90.7%を占めるまでに活動が広がっている。こうした地域単位の気候変動対策は、地域経済の活性化、コミュニティづくり、防災など、複合的課題を同時一体的に解決していく「持続可能な地域づくり」として注目されている【図】。
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