英国政府は3月25日、ロシアとベラルーシの木材製品に対し、35%の追加輸入関税を実施するとの新たな経済制裁措置を打ち出した。同様の輸入関税見直しは日本でも検討されており、ロシアに対する特恵待遇の停止に伴い、ロシアから輸入される木材製品、例えば羽柄材や枠組壁工法構造用製材が4.8%から8%に引き上げられる。木材流通や家づくりに確実に影響は出てきている。
ロシア側も非友好国を対象に、対抗的輸出規制強化策を打ち出し承認された。木材については2022年末まで、丸太、木材チップ、単板の輸出が禁止される。特に単板は日本がロシアにとって大口の輸出国であり、単板輸出全体の36%(約26万㎥)を占め、中国に次ぐ数量という。
ロシア産木材輸出が大きく制限されることに伴い世界の木材貿易は激変する。まさに世界的な木材サプライチェーンの大混乱が起き、代替材調達の動きが激しくなり、玉突きのように世界の木材産地に複雑な影響を及ぼすだろう。
ロシア産針葉樹製材は、ウラル山脈の西側は大半が欧州向けに出荷され、シベリア地域は中国、日本などが主な仕向け先だ。中国及び日本への輸出が1600万㎥前後、1000万~1300万㎥が欧州市場に供給されたと考えられる。ロシアを除く欧州の針葉樹製材消費規模は9000万㎥強であり、10~15%をロシア産に依存していたと考えられ、コンサル機関のWRI(カナダ)では、欧州市場は少なくとも1000万㎥のロシア産針葉樹製材供給を失うと指摘している。
欧州域外での針葉樹の供給産地を見出せるか
この不足分について、欧州市場は北欧やドイツ、オーストリア等のセントラルヨーロッパからの針葉樹製材供給比率を高めるか、欧州域外での針葉樹製材代替供給産地を見出していく必要がある。なお、フィンランドは2021年、中国に次ぐロシア産丸太輸入国として580万㎥を輸入した(WHATWOOD誌)。この問題も無視できないだろう。
欧州市場にとり米国、カナダが有力な代替産地となるが、実情は・・・・・
この記事は、最新号「新建ハウジング4月10日号」(2022年4月10日発行)10面に掲載しています。
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