住友商事(東京都千代田区)は、日産自動車との合弁会社であるフォーアールエナジー(神奈川県横浜市)と共同で、電気自動車(EV)のリユース蓄電池を大規模な電力用途に適用する技術開発を進め、福島県浪江町のフォーアールエナジー事業所内に「EVバッテリー・ステーション浪江」を完工した。
「EVバッテリー・ステーション」は、回収したリユース蓄電池を保管し性能を管理すると同時に、蓄電センターとして電力系統向けの需給調整サービスなどを提供する循環型の事業モデル。リユース電池84台分を収納。今月から本格的な運用を開始し、同技術の設計や有用性・信頼性の検証を行ったうえで、2024年には需給調整市場向けの大型蓄電事業を立ち上げる計画だという。
同技術は、福島県実用化開発補助金のサポートを受け、浪江町と連携して開発を進めているもの。従来、EVに搭載されるバッテリーは、大規模な洋上風力発電やメガソーラーなどを安定化する電力用途に利用するためには、蓄電能力や管理技術に課題があったが、このほど、高出力・大容量化を実現するためのスケールアップ制御技術を開発した。さらに経済性や安全性の高いシステム化を実現し「EVバッテリー・ステーション」に採用している。
また、住友商事は浪江町と連携協定書を締結し、「EVバッテリー・ステーション」をさらにスケールアップした複数の大型蓄電プロジェクトを浪江町周辺エリアにおいて検討している。同エリアは、電力会社の送電線が混雑している地域で、大規模な再生可能エネルギーが開発されても、現在のレベル以上送電線に接続できない状況が続いているが、リユース蓄電池を活用した大規模蓄電事業によって、電力会社の送電線空き容量に過度に依存しない、地域での再生可能エネルギー利活用促進に取り組んでいく。
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