セレンディクス(兵庫県西宮市)はこのほど、一般向けの3Dプリンターに最も最適な住宅開発を目指し、慶應義塾大学KGRI環デザイン&デジタルマニュファクチャリング創造センター(横浜市)との共同プロジェクトを発表した。
一般向け3D住宅「フジツボモデル」のプロトタイプを作成するプロジェクトで、慶應義塾大学 環境情報学部教授・田中浩也氏が代表を務める同センターが研究・設計、監修を担当。今秋、プロトタイプ完成を目指す。
世界の3Dプリンター住宅は、既存住宅の延長線上で開発を行っているため、1カ月半から3カ月かかる施工時間や、人件費が30~50%しか削減できないことなどが技術的課題となっているという。同プロジェクトでは、技術面、居住面、価格面の3分野で開発目標を設定し、3Dプリンターに最適な住宅開発を進めていく。
技術面では、日本の建築基準法に準拠かつ24時間以内に施工完了する、単一素材で複合機能を持たせた3Dプリント住宅を実現。居住面では、構造強度・耐火性・耐水性・断熱を担保する30m2~100m2の平屋とし、販売価格を通常の住宅価格の1/10、車が買える500万円に設定した。
今回のプロジェクトでは、鉄筋コンクリート(RC)造平屋で延べ面積49m2のフジツボモデルを、愛知県小牧市の百年住宅工場内に設置予定。一般住宅では、壁面に5つ以上の複合素材、屋根にはさらに別素材が使用されることから、単一素材で施工する同住宅は、国内初の取り組みとなるとしている。
同社は、30年の住宅ローンに縛られることなく、高性能かつ安価な家を誰もが手に入れられる社会の実現を目指しており、2022年には国内初となる3Dプリンター住宅の施工を23時間12分で成功。2021年にグランピングや災害復興住宅に対応したSphere(10m2・300万円)プロジェクトをリリース以降、一般向け住宅へのニーズが高まっていることから、慶應義塾大学の田中浩也教授に協力を依頼。産学連携で、脱炭素化施策と誰もが家を持てる社会の両立に向け研究開発を実施する。
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