4月19日、オンライン開催する『工務店カンファレンス2022』(主催・新建ハウジング)では、住宅・工務店業界にとって最重要テーマとも言える業界の次世代の担い手を育てていく「人づくり」についても考える。地域に根差した家づくりを生業(なりわい)とする企業として、事業や経営とバランスさせながら、地域の未来を担っていくような人材の育成を目指す鷲見製材(岐阜県岐阜市)の石橋常行社長に話を聞いた。
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組織づくりの根底は「人間大事」と「融通無碍」
工務店にとって”人”が最も重要
私の組織づくりの根底には、経営哲学である「人間大事」と「融通無碍」がある。人間大事を据えることで「何が本当に大切なのか?」を常に自問自答ができる。融通無碍の経営とは、枝葉はどういったものであったとしても、自由な発想をしていいという考え方だ。これによって本質を守りながら、時代の変化に追いつき、柔軟に受け入れることができる。
この2つが、どう工務店経営につながっていくのか。特に工務店は多くの人や地域企業との関わりの中で事業を行う。住まいは人がつくるものであって、家づくりを生業(なりわい)とする工務店は「人」が最も重要になってくる。私が考えるいい家をつくる第一条件は、人間として「良い人」であるということ。人が悪ければどんなに技術や知識があっても、いい仕事はできない。だから、まずは“人間力”を磨くのが大事だ。
理想はあっても、当然、日々悪戦苦闘している。約10年たってやっと手応えを感じ始めている。社員はある日突然、優秀にならないし、時間は掛かる。こんなこと言ってしまったら残念に思うかもしれないが、「ノウハウ」という表面的なものほど全く意味をなさないし、経営者が信念をもって、毎日、着実にコツコツやっていくしか道はない。
社員を最後まで信じること
私が社員教育で大切にしていることを紹介する。
①考え方=価値観を「そろえる」②人間を知る③可能性を信じ続ける④覚悟———の4つ。
①価値観はみんな違って当たり前だ。しかし、そろえる努力は必要だ。理解して歩み寄ることが組織には必要だ。
②個性を認め合うこと。人は理屈で動かない。心に訴えかける努力が大切で、感情が動いた時に大きな力が出る。
③人間の可能性は無限大だ。人は変わることができる。しかしその速度やタイミングは人によって違う。期待を裏切られることもある。それでも最後まで信じること。
④人づくりには時間と手間、お金が掛かる。とても非効率だ。経営者は、それを惜しみ早期戦力化に走る。実力も人間性も伴っていないと結果は出ない。むしろマイナスだ。経営者はこれに苦しみ、悩む。トップは「社員を絶対に一人前にするんだ」という覚悟がないと本質的な育成に取り組むことができない。
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