旭化成ホームズ(東京都千代田区)は3月29日、旭化成(東京都千代田区)と共同開発した、DXを活用した太陽光パネル施工管理システムの試験運用を4月から開始すると発表した。
同社が提供する戸建住宅ヘーベルハウスと賃貸住宅ヘーベルメゾンに設置する太陽光パネルを対象にしたもので、独自開発のシステムを組み込んだインパクトレンチを利用。ボルトを締める際に発する超音波から適正な締結音を判定し、自動停止するよう設定できるため、適正な強度でのボルト締めを実現する。太陽光発電システムの施工には相応の経験と技術が求められてきたが、同システムの運用によって、人の技術に頼らない本質的な品質の向上と、熟練の建設技能者不足に対応できるという。
あらかじめ設定した箇所でのボルト締めが終了した時点で、ウェアラブル端末のBluetoothマイクに「締め付け完了」と話しかけることで、独自開発した音声認識アプリとの会話を開始。「いつ・誰が・どこのボルトを締めたか」の情報を、自動でクラウドへアップロードする。ボルト締結時には「適正に締められたボルトの本数記録」がアップロードされるため、会話時の記録とともに、エビデンスとして残すことができるという。これにより、専門資格を持つ検査員による施工後の検査が省略可能となり、人材不足を補うと同時にコスト削減が実現できるとした。なお、締めたボルトの情報をクラウド上に自動アップロードするシステムは、旭化成のデジタル共創本部の技術が活かされている。
これまでボルト締めを行う際は、仮固定⇒本締め⇒目視のうえボルト1本ごとにマーキング、というように、同じエリアを複数回りながら施工する必要があったという。同システムの運用により、エリアごとに必要な部材はすべて据え付けながら一筆書きで施工することができるため、施工者の負担軽減と生産性向上が可能となる。
今後は半年間の試験運用を経て、一部の施工エリアでの本格運用開始を目指す。
同社は、住宅のZEH化などで太陽光システムの設置増加が予想されるなか、同システムの運用開始によって建設現場の省力化と脱炭素社会実現を目指す。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。