3月16日午後11時36分、福島県沖を震源とする地震があり、宮城、福島両県で最大震度6強を観測した。消防庁災害対策本部が発表した被害状況(24日時点)によると、人的被害は死亡3人・けが241人、住宅被害は宮城、福島両県で全半壊・一部損壊約1800棟にのぼった。16日夜の発生直後から、どのように対応したか、現地の工務店に聞いた。
有事対応の体制が機能
ヒアリング×訪問で被害状況確認
■建築工房零[宮城県仙台市] 広報 阿部梢さん
地震発生直後、Facebookメッセンジャーによりスタッフ間で対応方針を共有し、翌日(17日)はお客様に対して電話でのヒアリングや、大工・建築スタッフによる訪問を行い、被害状況確認を行った。現時点では漆喰や珪藻土のひび割れ、サッシ開閉の不具合、薪ストーブがずれたり洗濯機の排水ホースが外れて水浸しになるなどの被害が報告されている。ヒアリングでは①被害状況と緊急度合②保険会社に連絡することを促す③被害状況の確認・記録を促す―を必須項目としている。
事前に緊急時の体制を構築していたことが役立った。情報の共有にははGoogleのスプレッドシートを活用。お客様リストと被害状況を確認できる表があり、一覧でチェックできるだけでなく、ヒアリング内容も体系立てて蓄積されていくため、今後の対応などにも役立ちそう。電話対応はスピード感があり「わざわざありがとう」と感謝してもらえる一方、被害が大きくなればなるほどお客様の負担が増す。有事に備えて、お客様からダイレクトに連絡をもらえる被害受付フォームを設けようと検討を進めている。
地震発生から2日目くらいまでは、公共交通機関がダメージを受けていたことから、車移動が一気に増えて一般道が混雑し、被害対応で現場に向かうのに時間が掛かってしまうといった問題が発生していたが、現在は収まりつつある。
社員大工の分隊で補修依頼に対応
資材不足の影響を懸念
■会津建設[福島県福島市] 常務 佐藤将康さん
福島県内では、県北の国見町や旧梁川町付近で住宅の被害が極端に多い。相双地域も被害が大きく、目視だが全壊レベルの住宅を1棟確認している。(震度6弱の)福島市内は目立った被害がなく、地域によって、被害の程度が大きく異なっている。
今回の地震は、昨年の地震(2021年3月20日に宮城県沖で発生)による被害の補修が、ようやく終わったタイミングで発生した。しかたないと笑うお客様もいらしたが、度重なる被災に心が折れてしまった方もいるのでは。そう思うと胸が痛む。
弊社のお客様宅は幸い、軽微な被害で済んでいるが、それでも補修依頼は約250件あった。具体的にはは屋根材(瓦)の落下やサッシの破損、建具の開閉不良が多く、屋根の養生、建具の補修など補修内容ごとに、社員大工による「分隊」を組んで、対応に当たっている。
また、昨今の資材ショックは、被災住宅の補修への影響も大きいだろう。特に・・・・
この記事は最新号『新建ハウジング紙面 3月30日号 6面』に掲載しています。
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