住宅生産団体連合会(住団連、東京都千代田区)は3月23日、住宅産業の役割や課題等を盛り込んだ「住生活産業ビジョンVer.2021」を公表した。住団連は2019年7月に同ビジョンのVer.2018をまとめたが、その後、新型コロナウイルス感染症の拡大で働き方や住生活のあり様が変容。2020年10月に菅総理(当時)が「2050年カーボンニュートラル」を宣言したほか、2021年度を初年度とする新たな住生活基本計画(全国計画)もスタートするなど、住生活産業を取り巻く環境が大きく変化したことを踏まえ、同ビジョンを改訂したとしている。
Ver.2021では「ポストコロナ時代に相応しい質の高い住生活を実現するための住生活産業の課題と役割等を改めて検討」。さらに、民間住宅投資は国の政策に大きく左右されることから、「国に期待される取り組み」も整理し直している。
これからの住生活産業について、「カーボンニュートラル実現に寄与する優れた環境性能を備え、災害に対するレジリエンスを高め、長期にわたって資産価値を維持し続ける良質な住宅ストックを量的に十分整備し、適切に維持管理と、市場を通じた円滑な流通を促すことにより、人生100年時代を生きる国民一人一人がライフステージやライフスタイルに応じた住宅・住環境の中で、真に健康で豊かな住生活を享受できる『ストック型社会』の実現」に取り組んでいく必要性を強調した。
『ストック型社会』の実現への取り組み強調
その上で、住生活産業は①短命・低品質な住宅の再生産からの脱却、②レジリエンスの高いまちづくり・住まいづくり、③住宅ストックの性能・品質の改善・更新、④良質な賃貸住宅の整備、⑤資産価値を適正に評価する新しい住宅査定方法等の導入、⑥住宅の基本性能と生産性を向上させる技術開発等、⑦地方公共団体と連携した魅力あるまちづくり、住まいづくり――などについて、具体的な方向性を提示。
国に対しては、▽良質な住宅ストック整備促進のための政策資源の重点化、▽資産価値を適正に評価する新しい住宅査定方法の確立、▽住宅ストックの維持・向上に不可欠な民間住宅投資の誘導、▽空き家の発生抑制と老朽空き家の除却促進――等が期待されるとした。
そのほか、「人生100年時代に適応した豊かな住生活の実現」「次世代の子供たちを育む住環境の整備」「住生活産業の魅力の向上」「優れた住宅生産技術等を活かす国際展開」等について、住生活産業の方向性と、国に期待される取り組みを例示した。
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