日本不動産研究所(東京都港区)とトーマツ(東京都千代田区)は、協業し、気候変動による洪水等の物理的リスクが不動産価格に与える影響を分析するための新たなモデル「不動産の経済的損害算定モデル」を開発。それを活用したリスク評価助言サービスの提供を開始した。
「不動産の経済的損害算定モデル」では、日本国内の土地と建物両方を対象に、ハザードマップ上の想定浸水深に応じて、被災した場合の想定損害率を算定することが可能となる。同サービスの導入によって、水害が発生した場合の不動産価値へのインパクトについて、定量化された指標を伴ったシナリオを生成することが可能となる。また、投融資方針などの事業方針の見直しや、BCP計画策定、工場などの生産拠点の立地戦略に関する検討などに活用することもできる。金融機関にとっては、金融機関自身のポートフォリオの良化に寄与することが期待される。
土地価格については、不動産鑑定評価理論をベースに、想定浸水深や推定浸水被害額などの災害に関するデータや、人口・実質GDP・消費者物価指数などのマクロ経済指標、それぞれの土地の緯度経度情報などに基づく「ハザードリスク地価推計モデル」を活用し、想定最大規模の水害発生時の土地価格への影響度を定量的に分析する。同サービスには、気候変動に伴う自然災害のうち、「土地」に与える洪水などの物理的リスクに関する評価を反映させるGIS(地理空間情報)を応用した処理なども含まれている。これにより、従来の気候変動関連財務情報開示において考慮することが難しかった、洪水などによる「土地の物理的リスク」を把握することが可能となる。
建物価格については、不動産鑑定士の知見を活用し、建物部位別損害率と構造用途別構成比率による建物損害率をモデル化し、建物の用途ごとに異なる物理的リスク(価値の減価率)に関する情報開示への助言提供を行う。
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