古民家再生と新築を柔軟に手掛ける技術を持った工務店が輝建設(大阪府東大阪市)だ。
同社は、淡々と技術を磨きながら、古民家再生を軸に、幅広く受注を獲得している。
多彩な仕事ぶりは、築260年の古民家を再生したモデルハウスや築50年のプレハブ住宅をリノベーションした事務所が並ぶ「石切ヴィレッジ」と名付けられた、500坪の本社の敷地にも表れている。
※この記事は、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン9月号/がんばる地場工務店』(2021年8月30日発行)をデジタル配信用に再編集したものです。
東大阪のさらに東、生駒山の麓の傾斜した土地に赴きある旧石切町の町並みが広がる。古くからの家が残るのは、河内湾を起源にした水源が残り栄え、力のある庄屋が数多くいたためだという。高野山へ続く街道としてもにぎわった。 野崎観音など、麓に沿って、今も参拝者が途絶えない寺や神社が立ち並び、地域を見守るとともに、地元の心のよりどころになっている。
その1つ、石切神社に向かう坂道の参道の先に輝建設はある。大阪市を一望できる抜群の眺めだ。東京と異なり、戸建て住宅が広い範囲に広がり、ビル群が中心に集中していることが印象的だ。
古民家とプレハブが共存
まるで武家屋敷のような瓦塀に囲まれた同社の事務所は、入り口から、ただものではない 囲気が漂っている。それも当然で、500坪の敷地の核をなす古民家は、なんと築260年という。モデルハウスとして再生したもので、「石切ヴィレッジ」と銘打つ空間の玄関口として顧客を迎え入れて案内するとともに、社内の会議の場などとしても活用されている。
このほか敷地内には、土蔵や50年前に建てられたプレハブ住宅などがあるのもユニークだ。古民家再生から新築まで幅広く受注する同社の事業内容を表現しているかのようだ。プレハブ住宅はリノベーションし、スタッフが常駐する事務所として利用している。500坪という広大な土地は、現社長の小原響さんの先代(創業者)の時代に、農家だった地主から、「きちんと使ってくれる人に」と借り受けることになったという。
バランスよい受注が相乗効果
小原さんによれば、同社の受注のバランスは、「新築、リフォーム、古民家再生が3割ずつで、残りは雑小(ごそ)工事」という。新築は、OMソーラー協会に長年加盟していたことや建築家の伊礼智さんの影 を感じさせるテイスト。事務所の地主の住宅は「i-works」で建てた。仕事をバランスよく手掛けている相乗効果から紹介が多く、「先代の時代からクチコミで仕事を頂いています」と小原さんは話す・・・
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この記事は、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン9月号/がんばる地場工務店』(2021年8月30日発行)P.22~に掲載しています。
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