最近、焼杉がはやりつつある。独特の表情が好まれるほか耐候性も評価されている。
焼杉の採用例が多い輝建設の小原響さんが実践する活用のポイントを紹介する。
焼杉の耐候性が高いのは、高温で加熱することで木材腐朽菌の栄養分のセルロースやヘミセルロースが炭素化し、その直下の層の同成分も変質するためだと考えられている。炭化層は風雨にさらされてすり減る。耐候性の維持には厚みが重要だ。炭化層やその直下が腐朽しづらくなっていても焼杉の木口や裏面から浸水すると腐朽につながる。後述するビスの選択や 気層の確保が大切だ。
炭化層の厚い製品がお勧め
焼杉の既製品で小原さんが多用するのは中本造林の「焼杉塗Nブラック」。厚さ10mm、働き幅165mmと板厚が薄いため7000円/坪と安価だ。材工だと坪2万円弱とガルバリウム鋼板より少し高い程度で済む。
工場でバーナーで焼いているため炭化層は1mm未満と薄い。炭化層の保護と炭の粉の付着防止を兼ねて表面を塗装している。無とそう品もあるが、雨掛かりで使用すると数年で炭化層が落ちてしまう。
一部の工務店で注目されているのがFUN Materialの「天竜焼杉」。厚さ18mm、働き幅225mmとゴツい製品だ。3枚のスギ板を三角柱に束ね、内部でおが屑を燃やす伝統的な三角焼きで表面を炭化させるので、約3mm厚の炭化層ができる。価格は1万2000円/坪と高めだが、炭化層が厚いので維持管理の費用が抑えられる。
釘やビスも重要
木板は乾燥収縮で木表側に反るため釘が浮きやすい。焼杉は表面が脆い炭化層なので余計に釘が効きにくい。かつては四角い断面の階折釘で焼杉を留めた。この釘は錆びて板に食い付くので浮きにくい。1本100円と高価なので伝統建築の補修などにしか使用しない。
小原さんは焼杉の浮きを防ぐために板金ビスを使用。高いネジ山と低いネジ山を組み合わせて保持力を高めたビスだ。難点は・・・・・
この記事は、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン10月号/健康・エコな家づくり 木のチカラを再考する』(2020年9月30日発行)P.50~に掲載しています。
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