熊谷組(東京都新宿区)と住友林業(東京都千代田区)は3月23日、木質材料で座屈を拘束した鋼製ブレース「KS木質座屈拘束ブレース」を共同開発したと発表した。3月に日本ERIの構造性能評価でブレースとしては最高のBAランクを取得済み。
熊谷組の持つ中高層建物の耐震構造技術と、住友林業の木質系材料に関する多くの知見や技術を融合して開発したもので、LVLと合板を組み合わせた木質の座屈拘束材で鋼製の芯材を補強。圧縮時にも安定的な変形性能を発揮し、従来の座屈拘束ブレースと同等以上の耐震性能を実現した。
建物に用いる鋼製の耐震ブレースは、限度を超える圧縮力が作用すると急に湾曲する座屈現象が発生し変形するため、従来はコンクリート製や鋼製の座屈拘束材で座屈を抑止していた。今回開発したKS木質座屈拘束ブレースは、圧縮時にも耐力を損なうことなく高い耐震性能を発揮するため、オフィスや商業施設、集合住宅などさまざまな鉄骨造に加え、中大規模木造建築にも積極導入できるとしている。
両社は2017年の業務・資本提携後8分野で協業し、2021年には中大規模木造建築ブランド「with TREE」を立ち上げ木造化・木質化を推進している。熊谷組は集合住宅・事務所など「中大規模木造建築」建設の受注施工のため木質部材の技術を開発。住友林業は国内外で森林経営から木材建材の調達・製造、木造建築、木質バイオマス発電まで「木」を軸とした事業を展開している。
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