厚生労働省は3月17日、労働経済動向調査(2022年2月)の結果を公表した。同調査は景気の変動が雇用などに及ぼしている影響や今後の見通しについて4半期ごとに調査しているもの。労働者「不足」は正社員等で43期連続、パートタイムは50期連続で不足超過となり、「建設業」も41%が求人未充足とするなど、深刻な人手不足の状況が浮き彫りになった。
調査は今年2月1日現在の状況について、主要産業の規模30人以上の民営事業所のうちから5780事業所を抽出して、2月1~7日に調査した。有効回答数2768事業所、有効回答率47.9%。
生産・売上額等判断D.I.(増加-減少)のうち、1~3月期実績見込みは、調査産業計では0ポイント(横ばい)だった。
産業別では、「製造業」(+11)、「学術研究、専門・技術サービス業」(+10)などでプラス。「建設業」は-5ポイントだった。また、4~6月期見込は、調査産業計では9ポイントのプラス。産業別では、「情報通信業」(+16)、「製造業」(+15)などでプラス。「建設業」は+1ポイントだった。
所定外労働時間判断D.I.(増加-減少)のうち、1~3月期実績見込は、調査産業計では6ポイントプラス。
産業別では、「学術研究、専門・技術サービス業」(+23)、「医療、福祉」(+11)などでプラス。「建設業」は0ポイントで横ばい。4~6月期見込は、調査産業計では6ポイントのプラス。産業別では、「サービス業(他に分類されないもの)」(+13)、「製造業」(+9)などでプラス。「建設業」は+1ポイントだった。
■建設業2割が雇用調整予定
雇用判断D.I.(増加-減少)のうち、正社員等雇用について、1~3月期実績見込は、調査産業計3ポイントプラス。「製造業」(+6)、「不動産業、物品賃貸業」(+6)などでプラス。「建設業」は+2ポイント。
4~6月期見込は、調査産業計3ポイントプラス。「不動産業、物品賃貸業」(+6)、「サービス業(他に分類されないもの)」(+11)などでプラス。「建設業」は+10ポイントだった。
パートタイム雇用については1~3月期実績見込は調査産業計で2ポイントプラス。産業別では「宿泊業、飲食サービス業」(+10)、「卸売業、小売業」(+6)などでプラス。「建設業」は+3ポイント。4~6月期実績見込は調査産業計で1ポイントマイナス。産業別では「不動産業、物品賃貸業」(+3)、「宿泊業、飲食サービス業」(+1)などでプラス。「建設業」は-4ポイントだった。
ただし、労働者過不足判断D.I.(不足-過剰)を見ると、正社員等、パートタイム労働者ともに、「不足」とする事業所割合が引き続き多い。調査産業計の正社員等労働者はプラス39ポイントで、43期連続で不足超過。パートタイム労働者もプラス26ポイントで、50期連続で不足超過となっている。「建設業」の正社員等の過不足判断D.I.は53ポイント、パートタイムで10ポイントと、人手不足感が高い。
未充足の求人があると回答した事業所は、調査産業計では53%。建設業は41%が未充足と回答した。1~3月期に、残業規則や希望退職者の募集、解雇など「雇用調整」を実施する予定の事業所の割合は、調査産業計で24%。「建設業」で19%となっている。
新規学卒者の採用内定状況について、建設業で「採用計画・採用予定がある」事業所の割合を学歴別にみると、高校卒56%、高専・短大卒44%、大学卒(文科系)49%、大学卒(理科系)62%、大学院卒36%、専修学校卒36%となっている。
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