ロシア軍によるウクライナ侵攻の情勢悪化により、原油や小麦の価格高騰など日本でもさまざまな分野に影響が及んでいる。住宅業界でもコロナ禍に伴い長期化しているウッドショックにさらに拍車がかかるのではないかと懸念される。ロシア材の今後の動向やその影響について、長年にわたり木材業界紙の記者として活動し木材市場に詳しい向井千勝さんに寄稿してもらった。
ロシアは世界の森林面積の約20%を占める世界最大の林産国の1つだ。同国で生産される素材、製材、木質ボード、製紙原材料、紙製品は大量に輸出されている。今日でこそ、ロシア最大の林産物貿易国は中国であるが、日本も戦後、最も重要な林産物輸入相手国として、旧ソ連時代から長い貿易関係にある。特に「インニッサン」と呼ばれるロシア材アカマツKD30×40mmなどの垂木材は木造住宅で欠かせない部材の代名詞だ。
戦後、富山県、新潟県などの日本海側の港湾都市に、旧ソ連産エゾマツ丸太などを原材料とした羽柄材の製材工場が林立し、エゾマツ垂木の既製品が大量に供給されていった。その後、エゾマツからアカマツに移行していく一方、ロシアによる丸太輸出規制強化もあり、日本海側のロシア材製材工場は数を減らすとともに、丸太製材から原板再割へと業態を転換。さらにロシア国内で最終製品加工されたアカマツKD羽柄材輸入へと形態を変えていった。
ロシア産カラマツ丸太(ラーチ)は主に針葉樹合板の原材料として大量輸入されていたが、・・・
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