1902年創業の東原建築工房(三重県志摩市)の5代目、26歳の大工・東原大地さんは、4代目で代表の父・達也さん(57歳)とともに、筋交い・合板を使わずに貫を用いた手刻みの木組みや石場建て、土壁といった伝統構法による家づくりに取り組む。同市内で2020年に、初めて棟梁を務め、施主やその家族、友人、地域の人たちと一緒につくり上げた「いかだ丸太の家」(設計:エムサンク_アーキテクト一級建築士事務所)は、中部建築賞協議会が開催した第53回中部建築賞で、このほど入賞(住宅部門)を果たした。「地域の素材を使って地域の人たちを巻き込んでつくる地産地消の伝統的な家づくりが消えていってしまうのはもったいない」と話す大地さんは、受賞も励みにし「自分自身も楽しみながら(新築では)木組み、石場建て、土壁の家づくりにこだわっていきたい」と先を見据える。
大工・棟梁として「全ての工程に携わりたい」
信頼関係を深めながら、つくる喜び分かち合う
東原建築工房(三重県志摩市)の5代目・東原大地さん(26歳)は、「自分が大工として(家づくりの)全ての工程に携わりたいし、施主やその家族、友だち、地元の人たちと一緒につくっていく作業を楽しみたい」と、つくり手としての想いを語る。棟梁が最初から最後まで常に現場にいて、施主や職人と密にコミュニケーションし、互いに信頼関係を深めながら家づくりを進めるというのが大地さんが描く理想形だ。大地さんにとって伝統構法による家づくりは、そうした理想を実現するための手段でもある。
父の背中追い大工の道一筋
幼いころから父・達也さんの背中を見て育ってきた。「小学3年生の時に誕生日プレゼントで大工道具を買ってもらい、道具箱をつくったりしていました」と笑う。伊勢工業高校の建築科に進み、高校時代は、火事の被害に遭い、焼け残った地元の歴史的な舞台建築の実測調査を先生や先輩たちと一緒に行い、復元模型をつくって民俗資料館に寄贈した。2年生の時には、小屋組みの一部を手刻みでつくる課題に挑む「高校生ものづくりコンテスト」に出場し、県で優勝を果たした。
その後・・・
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