カナダ林産業審議会(COFI、東京都港区)はこのほど、「第4回 COFI木造建築デザインアワード」(Big&Tall Wood Challenge)の入賞作品を発表した。
同アワードは、木造利用の促進と木造建築の発展と促進普及のため、木造建築の工法、使用木材の生産・加工地を制限せず作品を募集。今回は、4層階以上で主たる構造の木造建築を対象とした「中層木造部門」、3層以下で1000m2以上の主たる構造が木造建築を対象とした「大型木造部門」で審査を行い、各部門4作品、計8作品を優秀作品に選出した。
「中層木造部門」では、中央区日本橋3丁目プロジェクト(Mid Rise Wood Building in Tokyo)(東京都中央区)、MOCXION INAGI(モクシオン稲城)(東京都稲城市)、髙惣木工ビル(宮城県仙台市)、ファミリーホスピス京都北山(京都市)の4作品が選ばれた。
「髙惣木工ビル」は、接合金物工法「KES構法」採用の木造7階建てビル。製材による束ね柱、合わせ梁による木造軸組工法により、高さ27.38mを実現した。設計・施工はシェルター(山形市)。
「ファミリーホスピス京都北山」は、2×4工法の4階建て福祉施設。設計はリヴ一級建築士事務所(京都府長岡京市)・現代建築研究所(東京都新宿区)、施工はリヴ(京都府向日市)。シンプルな勾配屋根とサイディングによる外観、木質化された親しみやすい内部空間がうまくまとめられており、この規模の中層木造が普通に建設できるようになりつつあることを示す好例として評価された。今後は、木造の魅力を街並に発信できる特徴的な外装への挑戦が期待されるとした。
「大型木造部門」の入賞作品は、桐朋学園宗次ホール(東京都調布市)、星野リゾート BEB5軽井沢(長野県北佐久郡)、日立建機株式会社土浦工場事務管理棟(茨城県土浦市)、流山市立おおぐろの森小学校(千葉県流山市)の4作品。
「桐朋学園宗次ホール」は、CLTを構造材に採用した3階建て音楽ホール。基本設計は隈研吾建築都市設計事務所(東京都港区)、音響設計は唐沢誠建築音響設計事務所(東京都渋谷区)、実施設計および施工は前田建設工業・住友林業共同企業体が担当した。音楽ホールと講義室棟の複合建築を、耐火上別棟の考え方を用いて木造で実現したプロジェクトで、準耐火建築物のホール棟ではCLT面を現しとして使用。集成材が並列する梁をCLTと構造用合板で上下から挟み、組み立て梁状の折板架構とすることで大スパンの空間を実現した。折板形状は音の反射板としても機能し、ホール建築の音響効果も高めている。また、燃え代設計によって不燃薬剤等を使用していないため、素地の木面が空間を覆い、木製楽器のような音響上の効果も。優れた空間性とともに、構造と音環境が新しい木構法によって同時に解決されており、これからのホール建築に新しい方向性を示すプロジェクトとして高く評価された。
審査員は、建築家の東利恵氏、東京大学生産技術研究所教授の腰原幹夫氏、建築家で芝浦工業大学教授の原田真宏氏。
入賞作品は、(公社)日本建築士会連合会会誌「建築士」5月号で発表する。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。