木材は比較的安価で応用範囲が広い材料だ。素材のもつ特性を生かすことで、さらに活用範囲が広がる。多くの建材開発に携わっている和建築設計事務所の青木和壽さんに、外壁板張りの防火性能と木製サッシの高性能化のポイントを聞いた。
※この記事は、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン10月号/健康・エコ 木の力を再考する』(2020年9月30日発行)をデジタル配信用に再編集したものです。
無処理の外壁板張りで防火・準耐火の認定取得
外壁板張りの障壁となるのが防火の規制だ。22条地域など外壁に防火構造が求められる場合、外壁板張りにするには次の3つの方法がある。①告示仕様の外壁板張り、②防火構造の外壁に木板を付加、③個別の認定の利用。
③の代表例がダイライトやモイスなどの不燃材料の耐力壁。汎用性が高いが、多くはグラスウールやロックウール、石膏ボードが必要となるため、付加断熱など多様化する断熱工法に対応できない場合がある。また外壁板張りで準耐火構造の認定は取得していない。
個別の認定で仕様の自由度が高いのが、薬剤注入した不燃木材を用いたもの。この分野は少し前に国土交通省の抜き打ち検査で認定取り消しになった製品が続出して、信頼を失った。技術的にも経年変化による液垂れや白樺の問題が完全には解決されていない。
そうしたなか注目されるのが、無処理の外壁板張りで防火構造(30分)や準耐火構造(45分)の認定を取得している工法だ。青木さんはウェスタンレッドシダーやカラマツの認定に深く関わってきた。前者は高広木材、校舎は小林木材・第三木材と取り組み、実現させた。
木材で防火性能を担保する
防耐火の認定で追求しているのは「燃えない」ことではなく、「一定時間燃え広がらない」ことなので、無処理の木材でも厚みを増せば要求性能をクリアできる。まずは木材が燃える原理をおさらいする・・・
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この記事は、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン10月号/健康・エコ 木の力を再考する』(2020年9月30日発行)P.46~に掲載しています。
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