非住宅木造の構造計算をする際に最低限必要になる情報がある。慣れてしまえば煩わしくはないのだが、中大規模の構造計算をはじめて依頼する方は、戸惑うこともあるだろう。連載最終回では、構造計算をする際にどのような情報が必要で、なぜ重要なのかを解説する。
非住宅木造の構造計算には、平面図、立面図以外に用途、各階の面積、軒高、建設地などを初期の検討段階から求められる。ただ、こう書くと、「用途や面積は図面を見ればわかるのでは?」と思うかもしれない。確かに見ればわかるが、掘り下げて聞く理由がいくつかある。この「なぜ、用途と面積を掘り下げるのか?」という視点で眺めると住宅と非住宅の違いがより見えてくる。
用途と面積が重要
あらゆる建物に対する法的制限が書かれている建築基準法は、主に用途と規模によって構成されている。特に、不特定多数の人が利用する用途には、構造だけではなく耐火など厳しい規制がかかってくる。逆に、特定の個人の所有物になる小規模な住宅は、限られた制限での建築が可能だ。
乱暴な表現になってしまうが、小さな商店とデパートでは、用途は同じでも制限の度合いに濃淡がかかるような制度になっている。
そのため、用途と面積が想定できないと、関係する法体系が見えてこない。初期段階で確認を求められるのはこのためだ。ただ、これだけでは、先程の質問の「用途や面積は図面を見ればわかるでしょ」の答えにならない。
事例解説
福祉施設の場合は?
では具体例で見ていこう。例えば、福祉施設と言っても、宿泊施設や集合住宅に近いものや施設内に大きな集会所があるものなど様々だ。そのため・・・
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