日本商工会議所と全国銀行協会を事務局とする「経営者保証に関するガイドライン研究会」(座長:小林信明弁護士)は3月4日、「廃業時における『経営者保証に関するガイドライン』の基本的考え方」を発表した。中小企業が金融機関から融資を受ける際に、経営者個人が会社の連帯保証人になる「経営者保証」に関して、コロナ禍であること等を踏まえ、特に廃業時に絞って、ガイドラインの趣旨を明確化した。
・廃業時における「経営者保証に関するガイドライン」の基本的考え方
経営者保証は、経営への規律付けや資金調達の円滑化に寄与する面がある。一方で、経営者による思い切った事業展開や早期の事業再生、円滑な事業承継を妨げる要因となっているという指摘もあることから、日本商工会議所と全国銀行協会が2013年に同ガイドラインを策定した。ガイドラインは、事業者が経営者保証なしで融資を受けられる条件や、保証履行後も保証人の手元に資産を残す等について要件などを規定している。
今回まとめた「基本的考え方」は、ガイドラインに基づく保証債務整理の進め方を整理。リース契約に係る保証契約を締結したリース債権者や、保証人の住宅ローン等の固有債務の債権者への対応、保証債務の整理への対応、保証債務の履行など、主たる債務者・保証人、対象債権者、弁護士等の支援専門家について、中小企業の廃業時に求められる対応を明記した。
また同日、「中小企業の事業再生等に関する研究会」(座長:小林信明)においても、「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」が取りまとめられ、公表された。日本商工会議所では、両ガイドラインを一体的に運用することで、迅速で円滑な私的整理手続が期待されるとしている。
・中小企業の事業再生等に関するガイドライン
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