熊谷組(東京都新宿区)はこのほど、木造建築の解体時に、主要構造部の分離が可能な「環境配慮型λ-WOOD」を開発したと発表した。
「環境配慮型λ-WOOD」は、芯材の木材とその周囲を耐火被覆する石膏ボードとの間に、接着剤を一切使用しない仕様としたもの。解体時に木材と石膏ボードが容易に分離できるため、木材の再利用が可能となるという。
同社は、環境重視の観点から、今後需要が高まると想定される中大規模木造建築の実現に向けて技術開発を進めている。2021年6月には「断熱耐火λ-WOOD」の中大規模木造建築への導入に向け、主要構造部(柱・梁・床・壁)の1~3時間耐火の国土交通大臣認定取得を公表。「断熱耐火λ-WOOD」は、芯材(木材)と耐火被覆材(石膏ボード)の接合に接着剤等を使用し、木材と石膏ボードの再利用が困難だったことから、容易に分離でき再利用可能な「環境配慮型λ-WOOD」を開発した。
「環境配慮型λ-WOOD」は、「断熱耐火λ-WOOD(柱2時間仕様)」と比較して、耐火被覆層の厚さが8mm薄く、材工費で30%以上のコスト低減を達成。木材と石膏ボードの分離によって再資源化を可能にするとともに、廃棄コスト低減にも寄与するとした。また、2時間耐火試験後に解体分離した600mm角の柱芯材を再利用し、新たに耐火被覆材を設置できるなど、火災の初期消火後に耐火被覆材を剥がし、柱芯材を再利用できる可能性も示した。柱(集成材)の2時間耐火性能は一般財団法人建材試験センターで確認。
今後は、中大規模木造建築における持続可能な資源活用を視野に、解体分離可能な「環境配慮型λ-WOOD」の実用化に向けたさらなる実験と、大臣認定取得を進めていく予定。
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