大東建託(東京都港区)は3月11日から、水害対策に特化した防災配慮型賃貸住宅ぼ・く・ラボ賃貸「niimo(ニーモ)」を販売する。同社が3月9日にリモートで開催した記者会見で、商品開発部の峠坂滋彦部長は、コンセプトとして、普段の暮らしのための建物の工夫が非常時の備えにもなるという「フェーズフリー」の考え方を紹介。1階は浸水した場合でも早期復旧が比較的容易なコンクリート打ち放し仕上げのRC造、2・3階を木造2×4工法で建築し、1階は屋根付き駐車場やアネックス(離れ)に、2・3階に居住空間を集約し、被災後も自宅での生活を継続できる設計とした。
「niimo」開発に携わった建築事務所Eureka(東京都豊島区)の稲垣淳哉氏は会見で、住宅建築のレジリエンス性を高めることで日常の暮らしの豊かさの実現につながるなどとし、地域の防災力に資することへの期待も語った。また、同社の防災アドバイザーでもあるNPO法人プラス・アーツ(神戸市)の永田宏和氏も、「niimo」が地域の防災拠点として活躍することを役割の一つとして指摘した。
同社は2018年から各支店を、支援物資や給電設備などを備えた防災拠点「ぼ・く・ラボステーション」として運営(現在36拠点)。防災イベントなどを開催している。「niimo」もステーションのサテライト機能を果たすことを想定しているという。入居者向けに、永田氏監修の15種類の防災グッズが入った「おせっかい防災ボックス」を設置。非常時には地域住民と活用する計画だ。
住戸間取りは2LDK+アネックス、専有面積は81.75m2(24.7坪)。1階のコンセントは天井付近の高い位置に、エアコン室外機は2階以上に設置するなど、水害時の被害を回避する配慮も取り入れている。今後はZEH化も検討していくとのこと。また、浸水エリア以外でも、ガレージハウスやハーバーハウス、店舗併用など「一般地域でも高付加価値のある賃貸住宅として販売していきたい」(峠坂さん)という。
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