セレンディクス(兵庫県西宮市)はこのほど、3Dプリンター住宅「Sphere(スフィア)」が完成したと発表した。百年住宅の小牧工場(愛知県小牧市)に建設し、施工は百年住宅(静岡市)、楓工務店(奈良市)、ナベジュウ(群馬県太田市)などが行った。
今回の施工では、海外のコンソーシアム参加企業の3Dプリンターメーカー2社と共同で躯体を出力。約20トンの躯体の組み上げは3時間で完了し、防水処理や開口部などの住宅施工を開始から23時間12分で完了した。これにより、同社の開発目標「家を24時間で創る」を達成したという。
3Dプリント部分はRC構造の型枠(打ち込み型枠)としても機能し、構造躯体はヨーロッパの断熱性能をクリアしたリブ補強された2重構造に設計。日本基準の耐震性能を確保した構造設計は、日本のエンジニアが担当した。世界中のコンソーシアム企業とのオープンイノベーションにより、高度な技術が必要な球体の家の出力を実現させたとしている。
今後は、さらなる施工時間短縮を目指し、工程内で2/3の時間を要した外壁塗装等の仕上げ工程を、3Dプリンターで出力できる設計に変更し、仕上げ施工箇所をロボット化する検討を開始。また、耐震性能強化の実証も行うとした。2月には3Dプリンター施工による断熱機構の設計を行い、特許出願も実施済み。
コンソーシアム参加企業向けに、グランピング・別荘・災害復興住宅に対応するSphere(10m2・300万円)の限定予約を開始した。
セレンディクスは、世界最先端の家(Next House)を創る事を目的に、3Dプリンター住宅メーカーとして2018年8月に設立。住宅の形を球体にすることで構造体を必要としない「3Dプリンターに最適な住宅開発」を行い、100m2・300万円の低価格での提供を目指す。「Sphere」の開発はオープンイノベーションで進め、開発コンソーシアムの参加企業は80社以上。同社は設計・開発に特化し、出力3Dプリンターは海外のメーカーとの協業、住宅施工は住宅施工会社との協業で行う「水平分業」の住宅づくりを実現。設計は日本・米国・オランダ・中国のコンソーシアム企業との共同開発で、ヨーロッパの耐熱基準をクリアする構造躯体や日本基準の耐震機能等、世界最先端の設計技術が活用されている。
低価格で24時間以内という超スピード施工が可能な住宅を提供することで、長期間の住宅ローン問題の解決と災害時の復旧活動に貢献。同住宅を通して、エネルギー消費の効率化やCO2削減などに取り組むとともに、木材価格の高騰、人件費の上昇に対応する。また、居住シェアリングモデルでのビジネス設計を構築し、住宅資産価値の最大化に挑戦するとしている。
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