日本建設業連合会(日建連)はこのほど、建設業に従事する女性の活躍を支援する「けんせつ小町委員会」のサミットをオンラインで開催した。約700人が参加。会社や職種の垣根を超え、横の繋がりを深めながら、女性のみならず持続可能な形で誰もが力を発揮できる労働環境や産業に発展させよう活動しているもので、同日は事例発表やトークディスカッションを通じて議論を深めた。
当日は、けんせつ小町部会長の細川珠生さんが基調講演で、性別や年齢、国籍などの枠を超えた多様性のあり方を示す、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)について話した。細川さんは、建設業ではD&Iがイコールで「女性活躍」と認識している人が多いが、それに留まらず、それぞれの違いを認めながら、多様な価値観を認め合う社会を構築していく考えが重要だと指摘。
その上で、建設業全体の“担い手不足”を引き合いに出し、業界全体の持続性向上のためには、社会構成員として女性の活躍が必須になるとして、それを「けんせつ小町委員会」などを通じ活性化させてきた経緯を説明。
「女性が結婚や出産などのライフイベントを抱えながらも、仕事を続けようと思うと様々な課題があります。家事、育児、あるいは介護と仕事を両立させるためには何が必要かその対策として育休など主に休暇制度の整備や、あるいは職場環境として工事現場のトイレや更衣室などの設置に懸命に取り組んできたのが、この7年間であったとも言えると思います」(細川さん)
政府の第4次「男女共同参画基本計画」で、2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%とする目標については「現状、目標達成には程遠い状況にある」と見方を示す。
2020年12月に閣議決定した第5次を踏まえ「『指導的地位に占める女性の割合が30%程度となるよう目指す』という目標は、若干後退したような表現で不満に思う人も居ると思う。でも大事なことはひとつずつ一歩でも確実に前に進めること」と述べ、目標達成には、業界全体でD&Iをいっそう浸透させていくことが重要になってくるとした。
各社事例を共有
そのほか、けんせつ小町工事チームの活動紹介では、全国のけんせつ小町工事チームの中からけんせつ小町専門委員会32人が選出した▽大林組「造る系☆金しゃち娘。」▽清水建設「かわにしこまち愛し隊(ICT)」▽大成建設「くまもん姫の会」▽NIPPO「ふじさん小町」▽竹中工務店「梅こまち」―が取り組みを発表。
各社が実践している現場での朝礼、熱中症対策、表示看板、デジタル・ドローン活用、現場パトロール、イベント、職場環境整備、働き方改革といった事例を共有し合った。
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