西方里見さんは、間違いなく日本の高性能住宅づくりをリードしてきたパイオニアだ。
著書や講演、新木造住宅技術研究協議会(新住協)での活動などを通じ、全国各地の工務店にも多大な影響を及ぼしている。
西方さんの哲学や設計手法を学び、自社の家づくりを磨いてきた「西方チルドレン」の3人に、西方さんのすごさや設計の勘所を聞いてみた。
著書『「外断熱」が危ない』(2002年)で西方先生を知った。外張り断熱ブームの真っただ中、断熱工法のコストと性能がはっきり書いてあり、暖房方式にまで踏み込んだ内容は画期的だった。
昨今の住宅業界には、外皮性能だけを追求する人が溢れている。数値だけを考えれば床断熱が有利だが、西方先生は「床が暖かくて気持ちいいから」と考えて、基礎断熱・床下暖房を選ぶ。あるいは、先生の地元・秋田県は日射量が太平洋側の3分の1という特性を踏まえて、南面の窓を最大化する。その地域に住む、普通の人々の暮らしを快適にすることこそ、先生の命題であり、そこは全くぶれていない。
一度、私が高単価路線にシフトしたいと話したら「地域の工務店は、親戚から家を頼まれてもちゃんとできる存在でありたいよね」と、先生に釘を刺されたことがある・・・残り695文字
西方先生を知ったのは7~8年前。相模(稔・オーガニックスタジオ新潟社長)さんらとの交流の中で、自分がやりたい家づくりには断熱・気密化が不可欠だということを理解し、新住協にも加入して西方先生から学ぶ日々が始まった。
特に断熱は、全てを西方先生に学んだと言っても過言ではない。私自身、どの断熱材がいいか研究したが、費用対効果の良さ、木材の経年変化への追従性、加工のしやすさなどの点で、グラスウールを使うのが最も理に適っているとの結論に達し、西方先生の手法を取り入れた。
先生の著書や雑誌の特集を読み込んで、何度も講演に足を運んでいると、本とは違う内容を話していることが多々ある。尋ねてみると・・・残り707文字
4年ほど前、西方先生に基本設計を依頼したのがお付き合いの始まりだ。雑誌で初めて西方先生の設計手法を知ったときは「ここまで断熱する人が実際にいるなんて」と思っていたが・・・
続きは『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー3月号/最新事例に学ぶ高性能住宅【設計施工】セオリー』(2022年2月28日発行)P8〜11に掲載しています。定期読者限定で事例の解説動画、図面や写真など豊富な資料集もご覧いただけます。
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